薬剤師は伝えたい!

今日から使える情報をあなたに。

【SGLT2】カナグル(カナグリフロジン)を飲むと足の切断リスクがあがる?飲むのやめるべき?

おっす!オラ塩だよ!

 

今日も元気に出勤だぁ!楽しいなぁ!いっぱい仕事できるぞぉおお!^q^

 

うえええい!

 

なんてね!仕事休みたいよ!家で子供が待っているよ!

 

でも土曜日の朝の通勤は道が空いてて通勤バイクを軽快に走らせてるときに

 

(土曜日は出勤面倒だけど道が空いててそれがメリットかなぁ)

 

なんて考えながら走っていたよ!

 

いやいやいや!土曜日が仕事じゃなければそもそもそんなメリット関係ねぇから!!


はい!おっぱっぴー!

 

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っていう超アホな導入から入ったけど、今日は超真面目な話だよ

 

カナグル(カナグリフロジン)に添付文書の改訂が行われたよ!って話。

 

カナグルってどんな薬??

 

カナグルって薬はSGLT2阻害薬っていう薬の分類に入るくすりだよ。


SGLT2阻害薬は近位尿細管っていうおしっこを濾過する場所でグルコースを体の中に再吸収することを抑制して、おしっこから排泄される糖の排泄を増加させて高血糖を改善させるタイプの比較的新しい経口血糖降下薬だよ。

 

ちなみに日本では現在こういうタイプの薬が6種類発売されているんだ。

 

カナグルを飲んでいると足の切断のリスクがあがる!?

今回添付文書に追加された文言は以下の文章だよ

 

海外で行われた脳・心血管疾患の既往又は高いリスクを有する,
血糖コントロール不良な2型糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験において,カナグリフロジンとして100又は300mgを1日1回投与された患者では,プラセボを投与された患者よりも,下肢切断の発現頻度が有意に高かった(ハザード比:1.97,95%信頼区間1.41-2.75)との報告がある 1) .(本剤の承認用法・用量は100mg/日である.)

 

カナグルを100mgもしくは300mgを飲んでいる人は足の切断する人がのんでいない人よりも1.97倍多かったよ、って事だね。

 

これだけ聞くとやばいよね!

 

「カナグル飲んでいたら飲んでいない人よりも2倍近く足切断してるの!?」
「糖尿病の進行を抑えるために飲んでいるのに、足の切断リスクが高くなるってどういうこと!?」
「じゃあ他のSGLT2をのんでいる人は足の切断リスクはあがるの?挙がらないの!?」

 

こんな感じで疑問が沸きに沸いてくるよね、私も最初この話を聞いたときにはそう思ったよ。

 

そして結局

 

「カナグルは飲まない方が良いの?飲んだ方が良いの!?どっちなんだい!」

ってなるよね。

 

今日はそんな疑問に塩ながら答えていくよ。

 

カナグルを飲むと足の切断リスクがあがる?その根拠は?

やっぱりこういう問題に当たるときはどこの誰がいつ、どういう経緯どんな目的でこんなこと言っているの?っていうところから考えるべきだよね


そういうのまとめてみたよ


誰が:米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)
いつ:2017年5月18日ごろ
どんな目的で:SGLT2阻害薬の安全性を確認するために試験をしたよ
経緯:二つの試験が有って、以下の試験結果でわかったよ。

 

・CANVAS(Canagliflozin Cardiovascular Assessment Study)試験(カナグリフロジンの心血管系への影響を検討)
・CANVAS-R試験(カナグリフロジンの腎への影響を検討)

 

で、その論文は以下から読めるよ。英語だから苦手な人はgoogle先生に聞きながら読もうね。

 

Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes

Neal, B., et al.:N Engl J Med. 2017; 377 (7):644-657

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1611925

 

かいつまんで要約しちゃうと、この論文は以下の概要のことを言っているよ


「1000人年あたりの切断発生率はプラセボ群で2.8、カナグリフロジン群で5.9、ハザード比2.12(95%CI 1.34-3.38)、NNH(Number Needed to Harm)323」

 

それで、FDAがどういう事を言っているかというと

 

「SGLT2阻害薬使用の際には、下肢切断・足潰瘍の既往、末梢動脈疾患(PAD)、神経障害の有無を確認し、足病変ハイリスク患者のスクリーニングを行い、SGLT2阻害薬投与中の患者に下肢感染の徴候や足潰瘍を認めた際は投薬を中止すべき」

 

なんて言っちゃってるんだよね。


これなかなかセンセーショナルだよね。


メーカーさん涙目だよね。残酷な世界だよ薬の世界ってのは。

 

ちなみに日本の添付文書だと「使用上の注意」ってところで指摘があるから絶対にこのリスクがある人に薬を使うべきではない(禁忌)とかにはなっていないよ。


だから使って良いかと言われると難しいけど、添付文書は裁判とかでの法律上根拠になる文書だからどこにかいてあるのかっていうのはかなり大事なポイントだよね。

 

どんな人がカナグルを飲んでいたら気をつけなきゃいけないの?

カナグルを飲んでいて次の症状が合った人だよ

 

・下肢の感染(足にばい菌が住み着いちゃって悪さをしている)
・壊疽(足が何らかの理由で腐っちゃった)
・糖尿病足潰瘍(糖尿病のせいで足の炎症がひどくてえぐれちゃっている感じ)
・虚血(血がうまく巡っていない状態)

 

あと、次の患者さんがカナグルを飲んでいたら切断のリスクがあがるよ

 

・下肢切断の既往
・下肢末梢動脈疾患
・神経障害を有する患者で

 

ちなみにどこが切断する可能性が高くなるかっていうと論文の抜粋だけど足趾や中足部が99例、下腿または大腿が41例だったみたい

 

じゃあ結局カナグルを辞めるか、他のSGLT2阻害薬に変えるべきなの?

これは、通り一辺倒の回答だけど、自分がお世話になっている医師や薬剤師に相談しようね。


なんでかっていうと勝手に辞めちゃうとカナグルを飲んでいるメリットも失っちゃうし、本当に自分が下肢の切断のハイリスク患者なのかどうかもわからないから。


それにお医者さんや薬剤師は患者さんが薬を飲んでいる状態だと思っているから勝手にやめちゃうと「薬を飲んでいるのになんでこんなに血糖値が高いのかなぁ、薬足りないのかぁ」とか考えちゃうかもしれないからちゃんと伝えることは凄く大事だよ。

 

あとね、論文でこういうデータがでたからってこれが全てじゃないよ。

 

例えばSGLT2阻害薬による下肢切断増加の機序はまだ不明らしいし、関連としては皮膚障害とか脱水による血栓、塞栓症など推測されているけどあくまで推測の域をでないからもっと特定の人がハイリスクなだけかもしれないし、実は本当はカナグル関係ないのかもしれない。

 

加えて、 さっきはアメリカのFDAが勧告してたって書いたけど欧州医薬品庁(EMA)ではカナグル(カナグリフロジン)のみの話ではなくSGLT2阻害薬全体について同様で起こりえるから、全てのSGLT2阻害薬において、下肢切断リスク上昇の可能性があるとの警告を添付文章に追記するよう勧告しているみたいだよ。

 

だから他の薬に切り替えれば良いってものじゃない可能性がある。

 

一番大事な事はいまカナグルや他のSGLT2阻害薬を飲んでいる人はまずお医者さんの前で靴を抜いて、足を見てもらいながら薬を一緒に考えていくことだと思うよ。


何事も今の状態が一番大事だから、しっかり確認しながら使う分にはこういうリスクもコントロール出来るからね。

 

じゃあ今日はこれでおしまい。
ばいばい。

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