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【麻薬まとめてみた】緩和ケアで使われる薬

 ちわ!塩だよ!

働き過ぎでいろいろと自分の上司から「ちょっと働き方見直したら?」といわれている塩だよ!
働くのやめてもいいけど,,,だれがこの仕事をやるんだろう。


なーんてね!ちょっと暗い導入だったかな!めんごめんご!

ということで今日の話題は緩和ケアだよ!今の塩に必要な分野だね!笑

 

緩和ケアで使用される薬剤について


コデイン

 
•アヘンから抽出される天然のオピオイド
•チトクローム(CYP2D6)による代謝を受けて、体内でモルヒネに代 謝されることにより鎮痛効果を発揮すると考えられている。主な副作用もモルヒネとほぼ同様である
•モルヒネとの用量換算:コデイン120mg≒経口モルヒネ20mg(6:1)
•10%製剤は医療用麻薬に指定されているため、麻薬処方となる
•米国FDAでは小児に対して禁忌。国内でも原則12 歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起されている
•投与後1時間程度で鎮痛効果を発揮するため、レスキューとして使用できる
•半減期3-4時間と短く、定期投与の際は、鎮痛効果の切れ目に注意が必要である
•300mg/日を超えると、鎮痛を副作用が上回るため、第3段階のオピオイドへの変更を考慮する


トラマドール


•麻薬処方箋は不要である
•代謝産物のM1が、μオピオイド受容体に結合し鎮痛効果を発揮する。
•セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用をもつ
•モルヒネとの用量換算:トラマドール100mg≒経口モルヒネ20mg(5:1)
•副作用は第3段階のオピオイドと同様だが、セロトニン症候群や痙攣が起こることがある
•セロトニン再取り込み阻害作用を持つ薬剤(SNRI, SNRI, 三環系抗うつ薬)との併用でセロトニン症候群発症のリスクが高まる
•主にCYP2D6を経て活性代謝物のM1に代謝されるため、薬物相互作用に注意が必要である
•日本人の約5%はCYP2D6の代謝酵素欠損があるため、トラマドールの効果を発揮しない。
•400mg/日 を越える用量は、安全性と有効性が担保されていない。
•徐放製剤以外は投与後1時間で鎮痛効果を発揮するため、レスキューとしての使用も可能である
•トラマドールとアセトアミノフェンの配合薬は、非がん性慢性疼痛と抜歯後疼痛に保険適応がある

 
モルヒネ

 

 

•モルヒネは肝臓でグルクロン酸抱合を受けて活性代謝産物となる
  *チトクロームP450を介さないので、薬物相互作用のリスクは少ない
•モルヒネ-3-グルクロニド(M3G、代謝産物の約45~55%)は、鎮痛作用はない一方で、ミオクローヌス、せん妄などの中枢神経毒性を有する
•モルヒネ-6-グルクロニド(M6G、代謝産物の約9~55%)は、モルヒネの3倍の鎮痛作用とともに、せん妄、眠気、悪心、呼吸抑制などの中枢神経毒性がある
•これらの代謝物はすべて腎臓から排泄されるため、腎障害時は有害事象が生じやすい
*腎障害時(CCr<50mL/分)では、中枢神経毒性のため、徐放製剤や注射剤の持続投与は推奨されない
•内服薬、注射剤(静脈・皮下・硬膜外・くも膜下投与可能)、坐剤と剤形が豊富で、さまざまな投与経路に対応が可能である
•各剤形間、投与経路間の換算比が確立している
*経口 60mg=注射 20~30mg=坐薬 30~40mg
*経口 300mg=硬膜外投与 10~30mg=くも膜下投与 1~3mg


オキシコドン

 
•チトクローム系(CYP3A4, CYP2D6)で代謝されるため、併用薬剤との薬物相互作用に注意が必要である
*オキシコドン未変化体(約10%):鎮痛作用あり
*ノルオキシコドン(約85~90%) :鎮痛作用なし
*オキシモルフォン(約1.5%):オキシコドンの約14倍の鎮痛作用
•一方、オキシコドンの代謝物は腎機能の影響を受けにくく、腎機能障害がある場合でも比較的安全に使用できる
Mercadante S. Cancer Treat Rev 2006.
Narabayashi Met al. Jpn J Clin Oncol 2008.
•内服薬と注射薬(静脈・皮下投与)がある
•モルヒネ、および各投与経路間の換算比が確立している
*経口モルヒネ 60mg=経口オキシコドン 40mg
*経口オキシコドン 40mg=オキシコドン注 30mg


フェンタニル

 
•消化器症状(悪心、便秘)、意識障害(眠気、せん妄) といった副作用が、他の強オピオイドよりも少ないとされる
•CYP3A4を介して、主たる非活性代謝物であるノルフェンタニルに代謝されるため、併用薬剤との薬物相互作用に注意が必要である
•フェンタニルの代謝物は、腎機能の影響を受けにくく、腎機能障害がある場合でも比較的安全に使用できる
•注射薬(静脈・皮下・硬膜外・くも膜下投与)、経皮吸収型製剤、口腔粘膜吸収製剤がある
•各投与経路間や、モルヒネとの換算比が確立している
*フェンタニル貼付剤 25μg/hr=フェンタニル注 0.6mg
*フェンタニル注 0.6mg=経口モルヒネ 60mg


タペンタドール

 
•μオピオイド受容体への結合と、ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用により、鎮痛効果を発揮する
•他の第3段階オピオイドと比較して便秘や悪心・嘔吐を生じにくい
•グルクロン酸抱合による代謝を受けるので、肝機能障害、腎機能障害、薬物相互作用による影響を受けにくい
•オキシコドンとの換算比が確立している
*経口オキシコドン 20mg=経口タペンタドール 100mg
•400mg/日を超える投与の安全性は確立されていない
•がん疼痛治療における位置づけは確立されていない
Schikowski A. J Pain Res 2015
Kress H. Pain Physician 2014

 

メサドン

 
•オピオイド作用のほか、NMDA受容体拮抗作用も有する
•半減期が長く、個人差も大きいため、用量調整が難しい
•QT延長による致死的な不整脈を生じるリスクがある
•モルヒネに比較して、腎機能低下例でも安全に使用できる
•がん疼痛治療の専門家(e-ラーニング受講による有資格者)によってのみ使用されるべきである
Leppert W. Int J Clin Pract 2009

 

ヒドロモルフォン

 


•WHOのがん疼痛治療のガイドラインにも標準治療薬の一つとして記載されており、国内でも徐放製剤、速放製剤が2017年3月に承認された
•モルヒネとの換算比が確立している
*経口モルヒネ 20mg=経口ヒドロモルフォン 4~5mg
•モルヒネに比較して、腎機能低下例でも安全に使用できるが、中枢神経毒性を持つ代謝産物H-3-Gが蓄積するため、傾眠や呼吸抑制に注意が必要
Pereiral J. J Pain Symptom Manage 2001

 

緩和ケアで使用される薬剤で引き起こされる副作用について

 

悪心・嘔吐


•オピオイド投与初期や増量時にみられる
•出現頻度は30%程度で、継続使用により1〜2週間で耐性を生じ消失することが多い
•悪心は、一旦出現すると継続投与が困難になることが多く、オピオイド処方と同時に制吐薬を処方していつでも使えるようにしておくなどの対策を講じること
•悪心のリスクが高い場合や、患者の不安が強い場合には、制吐剤をオピオイド開始前から予防的に定期内服する
•制吐薬を定期内服とした場合には、1〜2週間で評価し、漸減・中止へ

 

便秘


•ほとんどの患者に生じ、耐性が生じない
•オピオイド開始時から下剤を開始し、オピオイド使用中は継続的な対策が必要となる
•便を軟らかくする浸透圧下剤と、腸蠕動を亢進させる大腸刺激性下剤とを、便秘の状況によって使い分ける
•水分・食物繊維の摂取を促すことも有効とされる

 

眠気


•オピオイド開始時や増量時は、眠気や軽い傾眠が見られることがある
•耐性がみられ、数日で消失することが多い
•「眠気は心地よい感じですか?それとも不快な感じですか?」と聞き、不快であれば対応を検討する
•オピオイドの減量や種類・投与経路の変更を検討する
•眠気をきたしうる他の薬剤を見直す
•眠気をきたす他の原因がないかを検索する


もっと勉強したいときには以下を参照だぁ!

  

1.日本緩和医療学会(編)専門家をめざす人のための緩和医療学 南江堂, 2014
2.世界保健機構の取り組み
http://www.who.int/palliativecare/en/
3.早期からの緩和ケアの介入効果についてのランダム化比較試験
Temel J. JCO 2017
4.看護師主導による早期からの緩和ケアの介入効果に関するランダム化比較試験
Bakitas M. J Clin Oncol 2015
5.成人進行がん患者への早期緩和ケアの介入効果に関するレビュー
Haun MW. Cochrane Database Syst Rev 2017
6.緩和ケア外来への紹介基準
Hui D. Lancet Oncol 2016


1.日本緩和医療学会(編)専門家をめざす人のための緩和医療学 南江堂、 2014
2.医師の予後予測精度 Amano K、 Maeda I、 Shimoyama S、 et al:The Accuracy of Physicians' Clinical Predictions of Survival in Patients With Advanced Cancer. J Pain Symptom Manage  50(2):139-146、 2015. doi: 10.1016/j.jpainsymman.2015.03.004. [Epub 2015 Apr 4]
3.平成26年1月がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針
Amano K. J Pain Symptom Manage 2015


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