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【薬剤師、薬剤師を目指す人必見】:薬剤師として知っておきたい5つのこと。

こんにちは!Ph塩です。

今回は「薬剤師として知っておきたい5つのこと」です。

 

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画像著作者:aussiegall

薬剤師になりたいな〜、と考えている方も、現在薬学部で一生懸命勉強している方も、もしくは薬学部に入ってから今後社会に出ることに不安を覚えている方もこれを読めば少しは将来の不安も解消されると思います。

薬剤師の免許を取った後にどのような進路があるのか、といったことは下の記事にも書いていますので参考にしてください。

 

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私は逆に大学生の時は身の程知らずで井の中の蛙状態だったので社会に出てもうまくやって行けるだろうという謎の自信にあふれていました。


現在うまくやっていけていない、というわけではないですが、もう少しこういった方向に力を注いでいたらよかったな、とかこういう能力を磨けばよかったな、と思うことは多々あります。


また、逆に周りの人間を見ていても学生時代にこういう点に気をつけていたらこうはならなかったのにな、と思うことも実はよくあります。

特に、実習にくる薬学部生の方を見ていると下記の5つのことというのは本当に大事だなと感じます。

今回は皆さんが少しでも現実に近い将来像を描けるように、またすでに働いている方も納得していただけるような薬剤師の実際を紹介していきます。

大事な事5つ
1.コミュニケーション能力がものを言う
2.奨学金を借りるな
3.システムに強くあれ
4.薬剤師は「情報」を売る仕事
5.今後の薬剤師の行方



1.コミュニケーション能力がものをいう



全国的に名を轟かす高名な薬剤師の先生が次のように言っていました。

「男はホスト、女はキャバクラで半年くらい働いてこい。無理なら最悪、居酒屋のホールで客と絡め」

近頃ネットニュースで話題になっている長谷川豊氏の「人工透析患者は死ね」程にはインパクトはありませんが、これもかなりの暴論だと思います。

しかし、ある意味、理にかなっているのが現実です。

この言葉が意味しているのは、老若男女の誰とも話せるようなコミュニケーション能力を手に入れてこいということです。


そして、老若男女の誰もがあなたと話して楽しく、気持ち良くなるようなコミュニケーション能力を磨けという意味でもあります。

薬剤師に限らず、医療現場では本当に多くの人種と話をしなければいけません。

 

たとえば...

・頑固で怒りっぽいおじいちゃん
・お話し好きでウワサ好きのおばちゃん
・横柄で人の話を聞いてくれないDr
・気に入ってもらえればいいが、気に入らない人にはとことん冷たいNs
・女性社会であり、同じく嫌われるとやっていけない薬局内
・女性社会とはいえ幹部の上司は多くが中年の男性
・病院が大嫌い、白衣を恨むような目で見る子供

などなど...


この様々な人種や立場の方々が「顧客」や「仕事仲間」や「上司」になったりするので、ここで意思の疎通が図れないと、もはや職場では邪魔者扱いです。

現代の医療は一人でやる時代ではないのですから、我々は「患者さんの利益」を求めてチームで活動をします。
ただ、みんなプロなのですから、チームとして、誰とも普通に仕事はします。

しかし、そんな仕事の中の「ちょっとした気遣い」というのは本当にありがたく、それがあるか無しかでは仕事の円滑さは大きく違います。

もちろん、自分もそういった「気遣い」というものをしていくと誰からも「好かれる仕事」を出来るようになります。

こういった「気遣い」の相手への伝え方、「気遣い」をしてもらえるような関係作り、「気遣い」がなんらかの都合でできなかった時のフォロー、逆にフォローをされた時の対応、などなど、同じ事をしても同じ事を言っても、その時だけでなく普段から良好なコミュニケーションをしっかりとっているか否かでは相手からの印象も大きく違いますし、お互い嫌な思いをしなくても済みます。

特に入職してからは新人さんはしばらくはいるだけで現場に迷惑をかける存在であるのは仕方が無いのですから、良好なコミュニケーションというのは本当に必須です。

次に、良好なコミュニケーションとは何か?

これはずはり、「相手を理解すること」です。

•話をしてて相手が時計をみたら長話を続けますか?
•Drの診察中に「この薬の処方が…」と割って入りますか?
•苦しそうですぐに薬を飲みたい人に「この薬の副作用は〜」とだらだら説明をしますか?
•飲み会に誘ってくれた上司に、自分の都合を優先しますか?

これら全て、正解は相手の立場、気持ち、状況を考えれば正解が導けるはずです。職場ではこういった相手の事を考えることの連続でもあります。

もちろん相手の立場、気持ち、状況を考えても自分の考え方を通さねばならない時もあるでしょう。

禁忌薬剤を患者さんに飲ませるわけにはいきませんし、時間が無くても薬の説明はしないと責任放棄です。
飲み会にどうしても出られない時もあるでしょう。

そんな時に今度はどのようにしてうまく「自分を理解してもらうか」ということも大事になってきます。


こういった相互理解を促せることこそが、コミュニケーション能力の高さとも言えるのかもしれません。


そしてこのコミュニケーション能力の高さは、一朝一夕で身につくものではなく、自分を守っていては全く身につきません。

傷つき、失敗し、たまには成功体験も得ながら、どうしたら失敗するのか、どうしたらうまく行くのかを何度も身体に染み込ませる必要があります。

この記事を読んで、「よーし、社会人になったらコミュニケーションに気をつけるぞ〜」とか、「明日からコミュニケーション頑張ろ〜」と思ってもらえるだけでも大きな違いですが、おそらく最初はなかなか上手くはいかないでしょう。

しかし、その気持ちを持ち続け、相手への理解を深めること、自分の事を分かってもらう努力を普段から意識的に行うことが後々ジワジワと効果を発揮して行くのです。

書いてて思いましたが、これは結婚生活にも言えるのかもしれませんね笑


2.奨学金を借りるな

 

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画像著作者luigi morante


少し耳の痛い方もいるかもしれません。

私立薬学部の初年度平均学費は約220万円です。これに加えて、教科書代が年に10万円くらい、実習などでさらにかかることもあります。

単純に計算して、年に200万円かかったとしても6年通えば1200万円。

これに1人暮らしをしたり、通勤定期を買ったりしたらさらにかかります。

もちろん、学生生活も楽しみたいでしょう。部活、サークルなどは本当に楽しく、一生の思い出にもなりますので是非とも何かをやった方がいいです。しかし、その際にもお金はかかります。

こう言った費用を奨学金で賄うとして、例えば利息なし、1500万円を奨学金で賄ったとしましょう。

社会人になって月に10万円ずつ返したとしても12年6ヶ月、24歳で働き始めて36歳の半ばで完済ということになります。

薬剤師というのは一般的に高給取りのイメージがありますが、若手薬剤師の給料は一般的に年収500万円を超えることはありません。手取り月給にして20万円前半の給料でしょう。

この給料から10万円を引かれるので、10万円代前半の給料になります。甘めに見積もってもこの給料です。

薬学部で6年間厳しい教育を受け、幾つもの試験をパスして、ようやくその給料というのは、やや悲しいのではないでしょうか?

かと言ってももはや現在返済中の方はどうしようもないかもしれません。より給料の高い職場を狙うか、副業をしてお金を稼ぐしかありません。

しかしこれから薬学部に入ろうとしている方、現在薬学部にいる方は是が非でもお金のシミュレーションはしっかりしておきましょう。

「奨学金を借りないと大学に行けない」

というご意見の方、様々な事情があると思います。

ならば、是非とも国公立大学に行きましょう。国公立大学は初年度80万円前後、その後毎年54万円くらいです。アルバイトで十分稼げる額です。

国公立大学薬学部は私立薬学部と比べて偏差値はかなり高めの難関であることが多いです。もちろん私立薬学部にも高い偏差値の大学はありますが、平均的には難関でしょう。

しかし、ここで頑張るか、頑張らないかでその後に必要な金額に大きな差が出ますので是が非でも頑張ることをオススメします。もし近所の大学が難しいなら遠くで一人暮らしをしてでも国公立に通うべきでしょう。

もしくは現在奨学金を借りている方はアルバイトをするなりして、返済の見通しをすこしでも立てるように努力するなど、前向きなシミュレーションを検討するべきです。

他にも優秀な成績を残せば奨学金の返済が免除になるなどの制度もあります。かなり難易度が高くライバルも多いですが、こちらを狙うのもいいと思います。

3.システムに強くあれ


今後、薬剤師業務のシステム化は止まりません。

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散剤調剤システム、一包化システム、処方システム、注射オーダリングシステム、財務システムのようにすでにあるシステムの理解から、モバイル端末を使用した患者指導システムの導入、DWHなどを利用したハイリスク薬の適正使用システムなど、次世代の「スマートプラチナ世代」と言われる新しい時代が間違いなく来ます。というか、もう来ています。

そんな時に、「パソコンはちょっと…」と言っている限りは膨大な時間と労力をデータ処理等に追われることになるでしょう。

薬剤師の業務がオートメーション化によって奪われるという考察もありますが、私はそうは思えません。

患者さんに対する個別のきめ細やかな対応と、奥行きのあるケアというものは人間同士にしかできないからです。

ですが、そういった専門的な能力以外の場所では増え続ける医薬品と、それに伴う相互作用、禁忌事項、副作用情報に対する管理、ピッキング的なテクニシャン的な業務は機械化、もしくは外注化が進んで行くでしょう。

「情報を覚えていることが専門家」でもありますが、今後は「情報を検索出来る事が専門家」となって行くと思います。

少なくともパワーポイント、ブラインドタッチは習得し、出来ればエクセル、アクセスによる表計算、VBA、表の正規化などの技術に対する理解、ネットセキュリティとリテラシーに関しては知っておくと良さそうです。

4.薬剤師は「情報」を売る仕事

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画像著作者youtodesign.com


今後、日本の医療保険制度、特に国民皆保険制度は間違いなく限界を迎えます。

増え続ける高齢者に、伸び続ける平均寿命、上がり続ける新薬の値段に増え続ける医薬品、減り続ける就労世代(納税者)に、増えない医療施設、近頃いいニュースがありませんね。

こんな時、いい見本があります。

それは、アメリカです。

日本の医療レベル自体アメリカを追いかけている形であり、アメリカのように民間保険会社が代表的な保険者となるような時代が日本にも来るでしょう。

そうすると、病気になるとお金がかかりますから、みんな健康な状態を保とうとします。

ここで、セルフメディケーションが大事になってくるわけです。

セルフメディケーションとは、自分の健康が脅かされたときに病院に行かずに未然にケアしたり軽症なうちに薬局などに行って健康相談をうけつつ薬を購入し受診することなく病気やけがを治してしまうことです。

これにより医療費は国庫を圧迫することなく抑えることができ、保険の問題で病院にかかりにくい患者さんたちもある程度の出費で病気やけがを抑えることができます。

もちろん、これには今まで受けていた恩恵、つまり平等に医療を受けることができたり、病気やけがが悪化する前にしっかり病院で診てもらうことができるというメリットを放棄することになります。

人道的な良し悪しを考えると「悪し」であることだとは思います。

 

あまり長谷川氏の「透析患者に対する発言」問題は面と向かって非難できないかもしれません。

しかし、無い袖は振ることができず、残念ながら日本はいずれ少なくともこういった方向性に進んでいくものと思われます。

こういったときに、活躍するのが「薬剤師」というわけです。

その時に活躍するのは薬剤師が薬を売るからではありません。受診せずに薬局で健康相談の相手として、薬を選択する上でのコーチとして活躍するからです。

そのため、薬剤師は「情報」を売ることで活躍するという方向性に向かっていくでしょう。

もちろん、健康相談は有料ではありませんので「情報」を売るという意味では違ってくるかもしれません。

しかし現在薬剤師の指名制度があるように情報に付加価値が付いてきている時代です。

逆にいえば日本はこれまで情報を提供することに関して無関心でもありました。

今後はそういった情報を取り扱う仕事として薬剤師は活躍していくと思われます。

そのためPMDAの安全性情報や、日経メディカルオンライン、薬事日報のような媒体から契約した病院だけが得られる卸業者の特別提供情報など様々な情報提供ツールにアンテナを張っていく必要がありそうです。

「3.システムに強くあれ」でも述べましたがこういった点でも情報リテラシーが求められそうですね。


5.薬剤師の今後の行方

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写真著作者:Vive La Palestina


薬剤師という仕事は過去に「袋詰め師」と揶揄され、薬局の奥にこもって医師からの処方箋にしたがって薬を詰めているだけの人と言われていた時代がありました。

現代でもそういう方はひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。

しかし、今後そういった方はどんどんいなくなり、病棟、カウンター越しなどでより患者の身近になり、より医療従事者との連携を密にして活躍していくものと思います。

事実、海外ではそうですし、日本の薬学教育が6年生になったこともそういった見通しがあるからこそです。

逆にいえばこれまでに挙げたコミュニケーション能力、情報処理能力をさらに兼ね揃える必要があるということです。

これから薬学部を狙う方も、今現在薬学部に入っている方も、現在薬剤師として活躍している方も、一緒に頑張っていきましょう。