【京都】:第26回医療薬学会年会。学会ってどんな感じなの?
こんにちは!Ph.塩です。
今回は「学会に行ってみよう!」についてです。
実は医療薬学会という薬剤師にとってはかなり大規模な学会が京都の国際会館でこの17日から19日にかけて開かれており、私もそこに発表者として参加してまいりました。
みなさんは学会というとどういう印象をお持ちでしょうか?
普通はお堅くて、むっつりした顔で難しい話をあーでもないこーでもないと話し合っているイメージかもしれません。
もしくは、ここに見に来ていただいている方々は薬剤師の方も多いので馴染みの無くはない言葉かもしれません。
今回はそのレポートも含めてわかりやすく書いて行こうと思います。
目次:
1.第26回医療薬学会年会
2.学会で何をやっているの?
3.ご飯を食べながら講演を聴く?
4.発表ってどんなかんじなの?
5.学会まとめ
今回京都で開かれた学会の正式名称は上記のようなものです。
この年会の詳細のアプリはフリーでダウンロードできますので薬学生の方などで来年行ってみようかな、と考えているならば1度ダウンロードして見ておくと雰囲気がつかめるかもしれません。
ただし、要旨を見るためにはパスワードが必要で、このパスワードは学会に行くともらえる冊子に書いてあるので残念ながら要旨の中身までは見られません。
ちなみに学会というものはどこも会員と非会員と区別しており、こういったイベントに参加するにも学会員かどうかで値段が変わってきます。
つまり、学会員になって毎年のお布施年会費を払っていれば学会には割安で行けます。
しかし、学会員ではなく、「ちょっと参加して見た」という方は少し高めの値段設定となります。
また「事前登録」という制度もあり、学会開催の2ヶ月前あたりから「私は参加が確定しているので事前にお金を払います!」と表明すれば参加費が安くなります。
この事前登録は学会員でないと出来ません。
今回の学会に限って言えば...
学会員で事前登録あり→9000円
学会員で当日参加→13000円
非学会員で当日参加→16000円
割安と言ってもなかなかお高いでしょ?笑
そして事前登録していれば事前に、当日参加なら当日に、抄録集という冊子をもらいます。これにはアクセスや学会の概要、各発表の詳細などが書いてあります。
これがなかなかぶ厚い笑
全発表に関して書いてあるのでそりゃそうなんですが、持ち歩くには少し重いです。
それでも色んな工夫がしてあり、アプリと併用することでかなりボリュームを下げてありますがそれでもぶ厚いです。
お堅いイメージの学会に行くのにもなかなか体力勝負なんですね笑
学会は主に自分の発表の時間以外は他の発表を見たり、顔見知りの「先生」達に挨拶したりして回ります。
国際会館のような大きなイベント会場を全面貸切にしているので大きなメインホールから会議室的なルームまで、全ていつも何かしらの発表が行われています。
こっちでは「感染制御」についてやっているけどこっちでは「医療情報」、でもこっちでは「緩和ケア」というように、様々な分野の研究結果や最近の知見が発表されています。
私たちはその中で見たいものがあればその会場に行って聴講してくるのです。
丁度、お祭りの屋台のようですね。あっちに唐揚げ、こっちにリンゴ飴という感じで好きなようにあっちこっちに行きます。
もし疲れたら椅子がたくさんありますのでそこで座って休んでいても良いですし、もし用事があれば学会会場から出てどこかに行ってしまっても良いです。
自由参加なのでかなりゆるゆるなんですね笑
でも皆さんお金を払って勉強しに来ているので基本的にはやる気に満ちています。
ですから事前に聴講したい発表を調べておいて、当日はその時間に会場にいく、というのが基本的なスタイルだと思います。
また、学会では単位シールという物を配っています。
この単位というのがなかなかくせ者でして、薬剤師の世界では「私、こんなに勉強していますよ」という印のためのシールがあります。
このシールを一定以上集めて申請を出すことによって「一定以上の研修をうけ、やる気と能力のある薬剤師ですよ」と言えるようになるわけです。
その他にも、もし認定薬剤師や専門薬剤師になりたいならば、その資格を取るときにも単位が必要ですので学会に出たことを証明することは非常に大事なんですね。
丁度これも夏休みの朝のラジオ体操のようです。会場に行って、みんなで何かをやって、ハンコを押してもらって、一定数たまったら「頑張ったね!」となるわけです。
要するに、この単位がみんな喉から手が出るほど欲しい笑
中には学会に行って単位だけもらい、すぐに学会会場を出るような不届き者もいるかもしれませんね笑
まぁ、それでもよく勉強していて最近の知見のデータを手に入れられるならば問題ないのではないでしょうか。
ランチョンセミナーという言葉を聞いたことがありますか?
おそらく「lunch on seminor」から来ていると思うのですが、つまりランチしながらセミナーを聞くと言うことです。
企業が協賛しているセミナーであるために企業がスポンサーとなってランチを提供してくれるのです。
もちろんそのセミナーはそのスポンサー企業の商品が絡んだものになります。
企業としては宣伝も出来るし、我々としてはご飯も食べられるし、win-winという訳ですね。
しかし、あまり綺麗な話ではないですよね?お金のある企業が勝ちですし、かなり癒着のようなにおいがします。
もちろん我々も馬鹿ではないのでその企業の商品と他社の商品のどちらを病院で使っていくかということは患者さんにどちらがより利益があるかということを一番大事にしていきます。
ですがやはりこのような「接待」のようなセミナーは年々無くなって行っている傾向にあります。時代の流れですね。
発表には「口頭発表」と「ポスター発表」という発表の形式があります。
その名の通り、口頭で行うのか、ポスター発表で行うのかという違いなのですが、おそらく一般にポスター発表の方が敷居が低いでしょう。
ポスター発表は大きな紙か布生地に印刷して壁に貼り付けて読んでもらうのですがそのサイズは今回なんと120cm×180cmというサイズです。
大きいですよね。
この大きさの中に自分の研究結果を貼り付けるのですがなかなかデザインや文字のサイズ、全体のバランス調整が難しいのです。
しかしポスター発表は自由に見に来てもらい、自分がそのポスターの前に立っているときに自由に質問してもらうという形でかなりフランクです。気になる研究をしている人には名刺を渡したり、名刺をもらったりして今後の研究の相談相手ができたりもします。
ポスター発表は本当に多くの方が一度に貼り付けてあるので、そのポスターの山の中をゆっくり歩いて気になったら立ち止まるという感じで読んでいきます。
ポスターの出来や内容の良さで表彰されたりもするのでやる気も出ますね。グッドデザイン賞もありますよ。
一方で口頭発表は丁度学校の授業のような感じで進んでいきます。
前にスライドを用意して自分でスライドを流しながら説明していくわけです。
これにはしゃべり方、スライドの内容をいちいち吟味されて進んでいくのでかなりしんどいです。ですが自分の言いたいこと、内容はポスター発表よりもしっかり伝わるでしょう。
また質問も大勢の集まっている会場で受けることになるのでその答えにもかなり緊張します。
緊張だけならまだしも、内容に矛盾があったり、研究内容が甘かったり、結果のとらえ方におかしな点があれば公衆の面前でサンドバッグにされる可能性があります。
ひどいときには本当にボッコボコにされて、見てる方としても「もうやめてあげて!」と言いたくなる時があります。
ちなみにですが、「私はこの分野に詳しくなく教えて欲しいのですが...」で始まる質問はもはや死刑宣告と同じです。
おそらくその人はめちゃくちゃ詳しく、多くの事を知っています。自分よりも詳しいかもしれません。
大体詳しくなくて本当にわかっていない人が質問するわけ無いんですよ!笑
ですからこの一言で質問が始まったら「俺は今からおまえをボコボコにするからな!」と言われていると思った方が良いでしょう。
怖い。
ちょっと過去のトラウマもあって熱くなりましたが、発表の方法としてはこんな所ですね。
学会は色んな出会い、知識の習得、単位ゲット、様々な良いことがたくさんあります。
学会で知った情報が今後大きく役に立ったり、学会で得た人脈が自分の後々の人生を大きく左右することもあります。
みなさん、ぜひ学会に行ってみましょう。