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【ウイルス肝炎】B型、C型ウイルス肝炎?検査や治療はどうしたら?

こんにちは!Ph.塩です。
 
今回は「知っておきたいウイルス肝炎について」です。
 
まずは以下のTBSニュースをご覧ください。
 
C型肝炎治療薬詐取、新たに容疑の指示役の女逮捕
 
 生活保護制度を悪用し、C型肝炎の治療薬を病院からだまし取ったとして暴力団関係者の男らが逮捕された事件で、警視庁は新たに男らに指示をしていたとみられる女を逮捕しました。
 
  逮捕されたのは住所不定・無職の人見香代子容疑者(45)で、今年1月から3月にかけてすでに逮捕・起訴されている森川洋被告(43)らと共に神奈川県の 病院からC型肝炎の治療薬「ソバルディ」あわせて84錠、520万円相当をだまし取った疑いが持たれています。
 
人見容疑者は共通の知人を介して森川被告に 話を持ちかけたということで、取り調べに対し「肝炎の薬を手に入れて売ってくれる人を探してもらった」と容疑を認めているということです。
 
 警視庁は、人見容疑者がだまし取った薬を転売していた可能性もあるとみて詳しく調べています。(21日04:33)

 

近頃C型肝炎ウイルスに関する新薬が開発され、C型肝炎は治るものとして認知されてきました。
 
しかし、その治療薬は非常に高く、今回の事件のように暴力団や闇取引の標的にされることも少なくありません。
 
今回はそんな肝炎とはどういう病気なのか?どんな薬があってどんな治療法があるのか?社会保障制度はどうなっているのか?について迫りたいと思います。
 
 目次:
1.日本人に最も多い肝臓病、ウイルス性肝炎とは?
2.肝炎の特徴について
3.肝炎のウイルス検査について
4.肝炎の治療法について
5.高額な薬に対する医療費助成制度
6.肝炎ウイルスに感染しないためには
 
1.日本人に最も多い肝臓病、ウイルス性肝炎とは?
 
肝炎とはその名の通り肝臓の細胞が何かしらの原因によって破壊されて炎症が起こっている状態の事を指します。
 
その原因は…
 
• ウイルス
• アルコール
• 薬剤
• 自己免疫疾患
 
に別れますが、この中でもウイルス性肝炎とは、ウイルスの感染によって肝機能障害を起こす病気です。
 
感染したウイルスの種類によって、A型、B型、C型、D型、E型にわかれ、日本人に多く見られる慢性肝炎は「B型肝炎」と「C型肝炎」です。
 
全国ではB型肝炎ウイルスの感染者が110万人から140万人、C型肝炎ウイルスの感染者が150万人から200万人存在すると考えられています。
 
2.肝炎の特徴について
 
ここでは日本人に多く感染者が存在するB型肝炎と、C型肝炎について書きます。
 
B型肝炎について....
親から子供へウイルスが移る母子感染や乳幼児期の感染は、成長につれて免疫機能が発達していく途中で肝炎を発症します。
 
発症者の内、85〜90%は症状はないがウイルスを持っている状態になり、10~15%が慢性肝炎へと移行し、その中から肝硬炎 変、肝がんといった症状や病気を引き起こす方が現れます。
 
成人して以降の一過性感染の場合は20~30%の方が急性肝炎を発症すると言われています。
 
C型肝炎について...
このタイプの肝炎は感染しても多くの方には自分でわかる自覚症状が現れません。
 
急性肝炎を発症した場合は、30~40%の方が肝機能が正常化しま 型しますが、60~70%の方は慢性肝炎へ移行してしまいます。
 
感染から平均20年で、肝硬変に移行する方は10~ 16%。 肝硬変に移行した方は年間に5%以上の高い確率で 肝がんを発症してしまうと言われています。 
 
 
3.肝炎のウイルス検査につい
 
肝炎ウイルスに感染している場合、自覚症状が現れる前に以下の場所で血液検査を受ける事でわかります。
 
保健所…
都道府県内の最寄りの保健所で無料で受けることが出来ます。電話や直接行ってきいてみましょう。
 
医療施設…
病院や診療所です。有料の場合が多いですが、一部の医療施設では保健所と同じく無料肝炎ウイルスの検査を行っていることがありますので、こちらも希望があればその医療施設にきいてみましょう。
 
市町村が実施…
40歳の節目検診など、市町村が実施している住民検診で検査を受けることができます。希望する場合は要項をよく読み、肝炎チェックの血液検査が含まれているか確認しましょう。
 
 
また、検査をする前に自分に肝炎ウイルスの可能性があるのかな?というところで悩んでいる方もいるかと思います。
 
一般的に肝炎ウイルスに感染している可能性が上がってしまうのは以下の行為です。
 
• 輸血を受けたことがある
• 長期の血液透析をしている
• 非加熱性の血液製剤を投与されたことがある
• フィブリノゲン製剤を投与されたことがある
• 大きな手術を受けたことがある
• 臓器移植を経験したことがある
• 薬物注射の乱用経験者、もしくはボディピアスをしている
• B型肝炎ウイルスの感染者と性交渉したことがある
• 肝機能検査でAST.ALTの異常を指摘されたことがあるが、放置している
• 過去に肝炎ウイルスのチェックを受けたことがない
 
などなと、主に血液のやりとりを介した行為を経験された方は要注意です。
 
少しでも不安になられたら、血液検査自体はすぐに終わりますし値段も高くはないので是非とも検査を受けてみましょう。
 
4. 肝炎の治療法について
 
体内の免疫力を高めることでウイルスの活動を大人しくさせる注射剤のイ ンターフェロン、直接ウイルスに作用して大人しくさせてくれる抗ウイルス薬を用いて治療を行います。 
 
B型肝炎の場合 
ウイルスの陰性化(引っ込ませること)を目指します。
インターフェロンによる治療と、飲み薬(バラクルードなどの抗ウイルス薬)があります。
 
C型肝炎の場合 
ウイルスの排除をめざします。
インターフェロンによる治療と、インターフェロンと飲み薬を1〜2種類組み合わせて治療する方法があります。
 
このC型肝炎ウイルスに対する治療薬はどんどん開発が進んでいて、今回事件が起こってしまったソバルティも新しいお薬です。
 
海外の薬ですのでボトルサイズの処方になります。
 
非常に高額で一度の処方で軽自動車が買えてしまう位に高いので、よく肝臓の専門医さんと高額医療制度の事も話し合いながら使用しましょう。
 
5.高い薬に対する医療費助成制度
 
上記のような高額な医薬品を使用する場合とてもじゃありませんが個人で払い切れません。
 
こういったときに治療費の助成を受けて、一部の自己負担金を払うことでを治療が受けられることがあります。
 
治療費の総額のうち医療機関の窓口での負担額が例えば24万円となったとします。
 
この24万円のうちを、高額医療補助、肝炎助成金によって賄い、一時負担があったとしても最終的な自己負担を1万円〜2万円を上限とすることができる、というイメージです。
 
もちろん、助成を受けるためには診断書、明細書などの書類が必要なので病院でもらった書類は何も捨てずにとっておきましょう。
 
また助成を受ける期間は治療内容によって異なります。
 
まずは医療機関でもらった診断書を保健所に提出し、あとは必要書類への記入を教えてくれるのでまずは最寄りの保健所に問い合わせて見ることをオススメします。
 
6.肝炎ウイルスに感染しないためには
 
 B型肝炎は血液や体液を介して感染します(C型肝炎は主に血液を介して感染します)
 
下記に挙げた事を注意しましょう。
 
• 歯ブラシ、カミソリ、ピアスなど血液が付いている可能性のあるものを 他人と共用しない
• 血液や体液の付着したものは、むき出しにならないように しっかり包んで捨てるか、流水でよく洗い流す
• 外傷、皮膚炎、鼻血、月経血などはできるだけ自分で手当する
• 他の人の血液に触れるときは、ゴム手袋を着ける
• ピアスをするときは、適切に消毒された器具であることを必ず確かめる
• 他の人の血液が入る可能性のある入れ墨はしない 
• 不特定多数の相手との性交渉は避ける
• コンドームを正しく使用する。 
 
いわゆる感染症ですが、手洗いうがいと異なるところは血液感染であるところなんですね。
 
上記に挙げた事を意識的に気をつけることによって感染の確率は非常に低くなります。
 
近頃は若年層を中心に性交渉によってB型肝炎ウイルスに感染することが増えてきているようです。
 
健康であるから、若いからならないわけではありません。
 
ぜひとも気をつけて生活していきたいですね。