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【アレルギー】:アレルギーで悩む全ての方へ。

こんにちは、Ph.塩です。
 
今回は「アレルギーに悩む人へ」です。
 
アレルギーって言ってもいろいろありますね。
 
食物アレルギー、動物アレルギー、金属アレルギー、薬物アレルギー、花粉症、ハウスダスト…様々なものがあります。
 
どれになってもアレルギーは本当に全て辛いですよね。
 
私も昔からずっと悩まされてきました。生まれつきのもので、今も症状は残っています。
 
私の場合は喘息と皮疹に強く出ましたが、他にもお腹を壊したり、気持ち悪くなったり、色んな症状がありますよね。
 
そんなアレルギーに悩む全ての方へ是非読んでいただきたいと思います。
 
目次
1.アレルギーってどうしてなるの?
2.アレルギーって治るの?
3.アレルギー反応が起きるってなんだろう
4.体力がアレルゲンに負けるとは?
5.アレルギー反応は、コップで水を受けるようなこと。
6.アレルギーまとめ
 
アレルギーってどうしてなるの?
 
アレルギーとは、身体の中のあるたんぱく質が異常な物質と認識されて身体の免疫細胞が活発に免疫応答反応を行うことで症状が出るものです。
 
これは人間誰もが行なっている正常な防衛反応であり、なくては困ります。
アレルギー症状に悩む方はこれが少し過敏に起こっているとお考え下さい。
 
誰もが行う免疫反応の一部であることから、アレルギーとは病気というより体質と考えた方がいいでしょう。
 
そしてこの異常に反応してしまう特定のたんぱく質というものをアレルゲンと呼びます。
 
このアレルゲンには人間の体にとって、なんでもなり得ます。
 
有名なところではハウスダスト、スギ花粉、卵、蕎麦、小麦、牛乳、甲殻類、南国系フルーツなどです。動物の毛や糞、埃もアレルゲンになり得ますね。
 
たんぱく質とは、炭素などの有機的な高分子を指しますが、上記のようなたんぱく質以外にも金属や薬のような無機的なものや低分子なものも体内で複合体をつくりアレルゲンとなり得ます。
 
アレルギーの反応として、下痢や嘔吐を起こして体内からアレルゲンを追い出そうとする反応がほとんどです。スギ花粉に対する涙目や鼻炎もそうですね。
 
一方で喘息や皮疹、頭痛も身体の異常を知らせるシグナルです。
我々にとってはなんとか抑えたいこれらの症状も、実は体が異常をお知らせしている状態なんですね。
 
しかし多くの場合アレルギー反応は行き過ぎたシグナルとなってしまいます。
 
このように、アレルギーは病気というより正常な体の反応の一部が過敏に起こっている状態です。
 
毛深いとか、一重まぶただとか、そのような体質と同じとお考えください。
 
 
アレルギーって治るの?
 
上記のようにアレルギーは体質です。全身をめぐり、次から次へと作られる免疫細胞がアレルゲンに異常に反応する体質なのです。
 
アレルギーを治すということは体質を変えるということに近いものがあります。これがなかなか難しいことなんですね。
 
アレルギー反応を抑えることは以下の2点しかありません。
 
1.免疫細胞をどうにかする
2.起きてしまうアレルギー反応を症状がでないようにする。
 
1の免疫細胞をどうにかすることは、減感作療法と呼ばれます。
 
これは、アレルゲンを見つけて大騒ぎする免疫細胞に、低量のアレルゲンを管理しながら連続投与することによって身体の中にそのアレルゲンがあって当たり前だと刷り込ませるのです。
 
現在スギ花粉に対して「シダトレン」という薬があります。
2年毎日舌下に投与し続ける事で行うのですが、正直に言って労力に見あった効果が得られる確証はありません。
 
身体の中の免疫細胞が、アレルゲンが体内にあって当たり前と考えてくれない可能性もあります。
 
ほとんどの場合、少し良くなった、という感覚が得られれば成功といった程度のものです。
 
それでも本当に悩む方にとっては非常にありがたい事ですけどね。
 
2.のアレルギー反応に対する対策としては抗アレルギー剤もあります。
 
痒いときに痒みを抑えてくれたりする抗アレルギー剤はお守りのような薬ですよね。
しかし、アレルギーに悩む人は抗アレルギー剤で抑えたいわけではありません。本当はアレルギー反応自体を根絶したいでしょう。
 
しかし正常な免疫反応は残したまま、異常な免疫反応のみを抑えるという素晴らしい治療法はまだ見つかっていません。
 
ステロイドもアレルギーが起こりにくくなるとはいえ、免疫反応全体を下げて感染しやすくなりますし、浮腫や血糖上昇などの副作用はどうしても起こります。
重いアレルギー症状が出ている場合を除き、普段から飲んでおいてアレルゲンに備えるといったやり方はあまり一般的ではありません。
 
ただし、点鼻や点眼、吸入薬のように外用のステロイド薬は効果が局所的なので副作用も少なく、予防的に使用することはあります。
 
はっきり言って、アレルギーを根本的に改善し、人間にとってちょうどいい免疫反応のみを残す、という治療法は現在の医学では不可能に近いでしょう。
 
ですが、まだ諦めるのは早いです。以下をご覧ください。
 
アレルギー反応が起きるということは何か
 
繰り返しになりますが、アレルゲンは異常な分子が体に入り、それに対して体に免疫細胞がシグナルを送り、なんとか対応をするように命令した結果、症状として私たちは嫌な思いをするわけです。
 
要するに、体がアレルゲンという脅威にさらされていると感じているからです。
 
逆に考えてみましょう。
 
この脅威というものが、体にとって脅威ではなくなればいいのです。
 
そんな無茶な、とお思いでしょうが、以下の事に覚えがありませんか?
 
• 寝不足だとくしゃみが出たり、お腹を壊しやすくなったり、目が痒かったりする。
• 水分不足だったり肌が乾燥してると体が痒い。
• 疲れてると無茶な食事が受け付けない、下痢しやすい。
•精神的に疲れると体が痒い
• 小さい頃食べられなかったものが今は食べられる。小児喘息も治っている。
• 子供の頃はアレルギーが酷かったのに今はそうでもない。
 
 
などなど。
 
 
これらに共通していることは「体力がアレルゲンなどの脅威に対して負けている場合に反応が起こっている状態」です。
 
以下で詳しく見て行きましょう。
 
体力がアレルゲンに負けるとは
 
体力と聞いて、何を思い浮かべますか?
 
長距離を長く早く走れることでしょうか。
子供を抱えて買い物袋を持ってアパートの階段を駆け上がることでしょうか。
 
どれも非常に大事ですが、上記の場合の体力は、体が総合的に健康であるかどうかを指します。
 
人間の体は実はアレルゲン以外にも、もっと根本的な脅威と戦っています。
 
特に睡眠環境、栄養状態、水分補給、疲労状態、精神状態などが極端に悪化することは人間にとって何もかもを差し置いて改善するべき由々しき事態なのです。
 
これらが悪化している状態でさらにアレルゲンなんてものが体に入ってこればさぞかし免疫細胞は大騒ぎするわけです。
 
「ただでさえ体が悲鳴をあげてるのに、さらに悪いことが起こっているぞ!なんとかしろ!」と。
 
こういう時に体力が無いと、文字通り全身全霊をもって体は訴えかけてくるわけです。
 
この時に抗アレルギー剤を服用しても結局根本的な身体の悲鳴は止まないのはお分かりでしょう。そもそも体に戦う力が無いのですから。
 
つまり、基本的な環境を整えることがアレルギー対策として非常に重要になるわけです。
 
また、小さい頃よりも大人になったらアレルギー反応に改善が見られる仕組みもこれと同じです。
 
小さい頃は大人に比べて体力もなく、体が蓄えているカロリーも水分も何もかも少ないため、すぐに体は悲鳴をあげます
 
またアレルゲン1gが20kgの子供の体に入ってくることと、60kgの大人に同じく1gのアレルゲンが入ってくる事のどちらがダメージが大きいのかは明確でしょう。
 
同じ種類、同じ量のアレルゲンでも相対的に体の大きさに対して量が多くなるわけですね
 
ですから子供の頃は免疫細胞が過敏反応していることが多いのです。
 
これにより大人になると子供の頃よりもアレルギー反応が収まることが多いわけです。
 
この話は以下のようにも言えると思います。
 
アレルギー反応は、コップで水を受けるようなこと
 
ここで少し例え話にお付き合いください。
 
みなさんは体の中に多くのコップを持っています。コップは体内に無数にありますが、それぞれ一つの物質しか受けることができないコップです。
 
人参コップ、大根コップ、卵コップ、ハウスダストコップ、キウイコップ、犬の糞コップ、など世の中の全ての物質を受けられるほどにあなたの体にはコップがいくつも、なんでもあります。
 
 
さて、あなたは今、牛乳を飲みました。
 
あなたの体の中の牛乳コップへ真っ逆さまに落ちて行きます。
 
あなたの体はコップで受け取りますが、牛乳に対してアレルギーがある場合コップから牛乳が溢れてこぼれてしまいます
 
このこぼれた分がアレルギー反応です。溢れれば溢れるほど、アレルギー反応は強く起こります。
 
そして免疫細胞の過敏さと前述の体力によって決まるのが、コップの大きさです。免疫細胞の過敏さはなかなか変えられませんから、生活環境を整えて体力をつけてコップを大きくしましょう。
 
抗アレルギー剤はこのコップを一時的に大きくしたり、こぼれた牛乳を受けてくれたりしますが、効果もいずれ切れてしまいます
 
そして忘れてはいけないのがこの抗アレルギー剤を受けるコップも存在しています。ひょっとしたらそれはすぐ溢れる大きさのコップかもしれません
つまり、抗アレルギー剤でアレルギーを起こす方もいると言うことです。
 
あなたがもしりんご農家に生まれた場合、生まれた時からりんごの木の花粉にさらされて生きることになります。コップは少しずつ花粉を底に貯めて行き、いずれ溢れるかもしれません。
 
それでもりんごの花粉のアレルギーは珍しいです。多くの方がもつりんごのコップは非常に大きくて滅多なことでは溢れません。
 
しかし、りんご花粉が注がれ続ける事によって溢れたという例もあります。
 
このように免疫応答反応とアレルゲンの関係はコップと注がれる物の関係で示すことが出来ます。
 
アレルギーまとめ
さて、ここまで書いておいて最も大事なことを書いていません。
 
最後になりましたが、アレルギー反応に悩む皆さんにとって最も大事な事、それはアレルゲンの除去です。
 
私が小さい頃には皿から私しか使用しない専用のものしていました。
醤油も大豆ではなく純米醤油など、徹底的に食べられないもの、食べられない可能性があるものは避けていました。今もアレルギーの相談を受けた際にはそこを強調しています。
 
除去食という概念は今でこそ有名になり、権利がある概念ですが昔は甘えだとか、食べれば治るとよく言われたものです。
 
ですが徹底的に除去することは特に子供のアレルギーにとって非常に大事になってきます。
 
この除去食、また基本的な生活環境の見直しによる体力向上、を行い、体質であるアレルギーと上手く付き合っていきましょう。
 
魔法のような薬や方法はありません、地道に、地道に、向き合って行きましょう。
 
痒みや健康法については以下の記事も参照してください