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【ロゼレム】:自然な眠りを促す新しいお薬。その特徴と効き目は?

こんにちは!Ph.塩です!
 
今回は「ロゼレム」についてです。
 
以前、ベンゾジアゼピン系睡眠薬やベルソムラという新規の作用機序をもつ睡眠薬について書きました。
 
ベルソムラもベンゾジアゼピン系睡眠薬も効果として「眠らせる」睡眠薬なのですが、今回は睡眠薬の中でも違ったアプローチをもつ医療用医薬品のロゼレムという薬剤についてご紹介します。
 
目次
1.ロゼレムってどんな薬?
2.どのようにロゼレムは効くの?
3.メラトニンって何?
4.ロゼレムはどんな人に有効なの?
5.ロゼレムを使用しにくい人は?
6.ロゼレムまとめ
 
 
ロゼレムってどんな薬??
 
私たちの体の中には、「概日リズム」という昼を昼として、夜を夜として感じる昨日が備わっています。
 
つまり、昼には起きて行動し、夜には寝て体を休めるという生活リズムを本能的に刻んでいるんですね。
 
しかし、何かの拍子に夜間の不眠になったり、昼寝をしすぎてしまうと昼夜逆転になってしまうこともありますね。
 
こういった一日のリズムを治すことで不眠や昼間の眠気を治していくという薬がこのロゼレムになります。
 
容量は8mgのみであり、食事との併用は避けましょう。効き目が変わることがあります。
 
また概日リズムはサーカディアンリズムとも言いますが今回は概日リズムで統一してお話したいと思います。
 
どのようにロゼレムは効くの?
 
脳の中にある「視交叉上核」という場所は、起きている状態と眠たくなる状態を切り替えるスイッチを持ち、体の中の時計として働いています。
 
視交叉上核にはメラトニン受容体というスイッチがありますが、この中でも2種類のスイッチがあります。
 
これはMT1とMT2と呼ばれるスイッチなのですが、ロゼレムはこれを刺激し、睡眠中枢を活性化させることで、自然な睡眠となるように効いてくれます。
 
 
メラトニンって何?
 
睡眠について調べたことがある方は聞いたことがあるんではないでしょうか。
 
メラトニンとは、アミノ酸のトリプトファンという物質から作られるホルモンの一つで、前述の概日リズムを整えています。
 
夜22時から2時までの時間を睡眠のゴールデンタイムというのはこのメラトニンが積極的に働いてくれる時間帯がここなので、そう言われているんですね。
 
このメラトニンが生体内でMT受容体にくっつく事によって効果を発揮するのです。
 
しかし、メラトニンのこのような働きをフルパワーで行える方もなかなか少ないでしょう。
 
10時に就寝できる人の方が現代人では少ないですし、様々なストレスの中でホルモンの分泌がうまくいかない方も多いと思います。
 
加えてメラトニンの原材料はトリプトファンと言われるアミノ酸ですが、これは生体内で産生できないため食事で補う必要があります。
 
トリプトファンは特別な食事に入っているわけではなく肉類、乳製品、米、小麦にも含まれているので特別摂取が難しいわけではないのですが、朝食を抜いたりすると一日の必要摂取量を摂る事は難しいでしょう。
 
そこでメラトニンの働きを助けようという考え方でロゼレムが使用されるのです。
 
ロゼレムはどんな人に有効なの?
 
慢性的に不眠が続いていて、昼夜逆転が見られる方に有効です。
 
もちろん、上記の理由でご飯をきちんと食べる、夜22時を目指して寝るようにする、などの努力をした上で使用する薬剤です。
 
しかし、入院中で昼や夜の感覚が得られにくい方や、一定期間昼夜逆転や余儀無くされて普通の生活リズムに戻さないといけない方などにとっては非常に有効なお薬でしょう。
 
また、こちらのお薬もベルソムラ同様にせん妄状態に影響が少ないお薬ですので、そのような方の昼夜逆転傾向や夜間不眠に使用することができます。
 
しかし、効果の確認に2週間以上かけるお薬ですので、急性期病院だとその確認の前に退院してしまうこともしばしばあるでしょう。
 
その時は外来でフォローしてもらい、先生と相談しながら使いましょうね☆
 
ロゼレムを使用しにくい人は?
 
前提として、積極的に昼夜逆転をしている人、生活環境の改善をしていない人には薬剤で眠らせる前にやるべきことがあるでしょう。
 
しかし、中には夜勤が頻繁にある方、生活環境の改善が出来ない方もいらっしゃると思います。
 
そういった方にはロゼレムはおすすめできません。夜勤で眠るタイミングを自分で決めないといけない方は超短時間型睡眠剤や、市販の抗ヒスタミン薬も考慮に入れてもいいかもしれません。
 
 
また、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)や、ある種の抗生剤を飲んでいる方は相互作用が心配されますので現在飲んでいる薬剤を医師、薬剤師に見てもらってから飲むようにしましょう。
 
ベンゾジアゼピン系薬剤の作用機序と似た働きをするアルコールとの併用は副作用を強める可能性がありますのでおすすめできません。
 
また、妊婦、授乳婦、小児への影響は長期的なデータが無いため飲んだ時と飲まない時のメリットデメリットを考えて飲むようにしましょう。
 
このように注意点はいくつかありますので必ず医師、薬剤師と相談しながら飲むようにしましょうね。
 
ロゼレムまとめ
 
ロゼレムは直接的に眠らせる薬ではないので効果にムラがあることがあります。
 
ですがその分自然な睡眠を促す薬剤でもありますので比較的安全に使えるお薬でしょう。
 
何度も繰り返しになってしまいますが、自然な睡眠導入のためには食事をきちんと取り、就寝時間を気にして生活をしましょう。
 
その上で使用するにはロゼレムは良いお薬ですので、医師、薬剤師に是非相談して見てくださいね^_^