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【ベンゾジアゼピン系睡眠薬まとめ】:どんな特徴があるのか?

こんにちは!Ph.塩です。

 

今回は「ベンゾジアゼピン系睡眠薬まとめ」です。

 

おそらく、不眠で悩んでいる方が病院の先生に相談した場合ベンゾジアゼピン系睡眠薬という分類の薬が処方されることが多いと思います。

 

多くの種類のベンゾジアゼピン系睡眠薬が医療用医薬品として存在していますので、どの薬が自分に合うのかという事はこの記事に書いてあることを元に処方されていると思います。

 

薬として効き目がよく、またある程度経ったら体からちゃんと抜けていってくれて、中毒になりにくいベンゾジアゼピン系睡眠薬は本当に良い薬ですが、自分にあった薬を探すことも、とても大事です。

 

不眠で悩んでいる方、不眠で病院にかかって薬をもらってきたけど調べたい方はこのページを参考にしてみてください。

 

目次:
0.用語の解説
1.超短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬
2.短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬
3.中時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬
4.長時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬
5.ベンゾジアゼピン系睡眠薬を使っていい人、悪い人。
6.最後に

 

 

0.用語の解説

 

半減期

薬の体の中の濃度が飲んだときと比べて半分になる時間のこと。これが長ければ長いほど体の中に薬がとどまっていることを指していますので、どれだけ薬が長く効くのかという指標になります。

 

処方日数制限

病院の先生が処方できる最大の日数のことです。乱用防止や横流し防止の意味と、この日数で効果を確認するべきという意味を込めてこの日数以上は処方してはいけませんと法律で決まっています。

 

筋弛緩作用

体の筋肉が弛緩して脱力感、ふらつき感などが起こる作用のことです。睡眠剤はこの作用がつきもので、その程度にもバラツキがありますし個人差があります。転んでしまわないように注意しましょう。

 

ジアゼパム換算

ジアゼパムという薬と比べてどれくらいの効果を持っているのかという指標です。単純にその薬の力を計ることができます。値が小さいほど強いと考えても良いでしょう。もちろん個人差はありますので、これが全てではありませんが参考にしてください。

 

1.超短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬


マイスリー(一般名:ゾルピデム)
・用量は5mg~10mg
・半減期は2時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は少ない
・ジアゼパム換算10
・特徴は半減期が非常に短く、すぐに効いてすぐに体から消えてくれる事。これによりだらだらと眠気を感じる事が少ないです。

 

ハルシオン(一般名:トリアゾラム)
・用量は0.125mg~0.25mg(場合によっては0.5mgも使用可能)
・半減期は3時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は少しある。
・ジアゼパム換算0.25
・特徴はおそらく最も有名なこと。有名な理由は良くも悪くも「使っている人が多いから」。ですがその分実績はありますし、使用経験の多いお医者さんも多いです。日本でも40年以上の歴史がある薬であり、使っている人が多いこともあり安いです(ハルシオン0.125mg錠は9.5円/錠)。

 

アモバン(一般名:ゾピクロン)
・用量は7.5mg~10mg
・半減期は4時間
・処方日数制限なし
・筋弛緩作用は少ない
・ジアゼパム換算7.5mg
・特徴は飲んだ後の薬の代謝物が苦みを感じさせる事。これは薬自体が苦いわけではなく、体の中に入ってから苦みを出す物質になり、それが苦みとなるので大量に水を飲んだりオブラートを使用しても意味はありません。ですが処方日数制限も無く、この薬のファンも多いです。

 

ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)
・用量は1~3mg
・半減期は5時間
・処方日数制限なし
・筋弛緩作用は少ない
・特徴は名前の通りアモバン改良版。薬の兄弟としてS体、R体という概念が存在していて、S体を使用しています。これにより副作用は少なく、苦みも非常に改善されています。ただし、ルネスタよりアモバンの方が効いたという方もいますのでまずはアモバンを試しても良いかもしれません。値段もやはり高めです。(ルネスタ1mg:51円/錠、アモバン7.5mg:22円/錠)

 

2.短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬

 

デパス(一般名:エチゾラム)
・用量は0.5~3mg
・半減期は6時間
・処方日数制限なし
・筋弛緩作用はかなり強い
・ジアゼパム換算1.5mg
・特徴は当サイトの別記事も参考にしてください。(この記事ラストにリンク有り) 処方日数制限が無いことや、効果発現が早いことからどんどん処方される傾向にありますが、かなり強い薬です。その分効果ももちろん期待できますが乱用、違法取引も多いお薬です。筋弛緩作用も強いのでふらつき、転倒される方も少なくありません。

 

レンドルミン(ブロチゾラム)
・用量は0.25mg以下
・半減期は7時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は少しある
・ジアゼパム換算は0.25
・特徴は効果発現が早く、半減期もそれなりにあることから入眠障害~中途覚醒の両方共に効果が期待できること。ゾルピデムで長短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬で夜に起きてしまうならこちらを使ってみても良いかもしれません。

 

ロラメット、エバミール(ロルメタゼパム)
・用量は1~2mg
・半減期は10時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は少しある。デパスよりは少ない。
・ジアゼパム換算は1
・ロラメットもエバミールも同じ成分だが、ロラメットの方が少し高いです。レンドルミンよりももう少し長く効いてほしいという方には良いかもしれません。

 

リスミー(一般名:リルマザホン)
・用量は1mg
・半減期は10.5時間
・処方日数制限なし
・筋弛緩作用は少ない。
・ジアゼパム換算2mg
・特徴はプロドラッグと呼ばれるタイプの薬で、体内で活性体に変換されてから効果を発揮するタイプの薬です。これもロラメット、エバミールと同じく、少し半減期が長いので夜中に目が覚めてしまうと言う中途覚醒型の睡眠障害に使用できます。

 

3.中時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬

 

ソラナックス(一般名:アルプラゾラム)
・用量は1.2~2.4mg/日
・半減期は14時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は少ない。
・ジアゼパム換算0.8mg
・特徴として睡眠剤としてもよく使われますが不安を抑える効果を期待して使う事があります。ワイパックスという薬と同じように、食べ物を食べるなどの行為の後に、気持ち悪くなるかもしれないと考えることで吐き気を催す「予測性嘔吐」を抑える効果を期待することもあります。

 

エリミン(一般名:ニメタゼパム)
・用量は3~5mg
・半減期は17時間
・処方日数制限なし
・筋弛緩作用はかなり強い
・ジアゼパム換算5mg
・かなり強い筋弛緩作用を持ち合わせ、デパスよりも少し強い位です。そのためふらつき、転倒にしっかり注意をする必要があります。

 

ロヒプノール、サイレース(一般名:フルニトラゼパム)
・用量は1~2mg
・半減期は24時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用はかなり強い
・ジアゼパム換算1mg
・非常に強力な睡眠作用を持っており、こちらも有名な薬。効果が高く、眠る力が強いのでそれを期待して処方される事も多いですが、その分違法ドラッグとして悪用されることも。アメリカでは「レイプドラッグ」と言ってお酒等に混ぜられて性的暴行にも使用されることもあります。最近では薬の色が真っ青に着色され、飲み物に溶けた場合にすぐに異様な色に気がつくようにも工夫されました。

 

ユーロジン(一般名:エスタゾラム)
・用量は1~4mg
・半減期は24時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は強め。デパスと同等程度
・ジアゼパム換算2mg
・特徴は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中で唯一添付文書の禁忌事項に急性閉塞隅角緑内障の記載が無い事。ですが緑内障の中にも急性閉塞隅角緑内障の方は少ないのでそこが利点になることはあまり多くありません。

 

ベンザリン、ネルボン(一般名:ニトラゼパム)
・用量は5~10mg
・半減期は27時間
・処方日数制限は90日
・筋弛緩作用は強め。デパスよりやや弱い
・ジアゼパム換算5mg
・食事と共に効果が弱くなってしまう可能性があるので服用のタイミングは寝る前として、食事を服用前にとらないようにしましょう。またこれくらいの半減期の睡眠薬は依存性、耐性が置きにくいため、長期の使用をしやすいといった効果があります。ただしそれも大体4ヶ月くらいなので、それ以上ベンザリンなどのお薬を続ける事はオススメできません。

 

4.長時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬

 

ラール(一般名:クアゼパム)
・用量は20~30mg
・半減期は36時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は少ない
・ジアゼパム換算15mg
・特徴として食事の影響を非常に強く受けるので食事の前後の服用は避けましょう。最近ではベゲタミンの販売中止予定に伴ってベゲタミンの置き換え薬として少し注目されています。

 

ダルメート(一般名:フルラゼパム)
・用量は10~30mg
・半減期は65時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は強め。デパスと同等程度
・ジアゼパム換算不明
・長時間型の薬に共通しますが副作用が比較的弱く、安全性も高いです。作用はゆるやかであり、依存症にもなりにくく、耐性も形成されにくいです。ただし持続時間が長いので日中も眠気を引きずったりぼーっとしてしまう可能性があります。

 

ソメリン(一般名:ハロキサゾラム)
・用量は5~10mg
・半減期は85時間
・処方日数制限は30日
・筋弛緩作用は強め。デパスより少し弱いくらい
・ジアゼパム5mg
・効果が長すぎるためか、あまり使用されているところを見たことがありません。おそらくこのお薬を使用すると日中の覚醒レベルも下がってしまう恐れがあります。それでも使用するならば他の薬で夜起きてしまう中途覚醒や、朝型に目を覚ましてしまう早朝覚醒がある方に向いていると言えるでしょう。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬を使っていい人、悪い人

 

まず、妊婦さんは極力使わないようにしましょう。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は脳の中のベンゾジアゼピン結合部位という部分に結合して効果を発揮します。

 

この効き方はアルコールの効き方と同じなんですね。


妊婦さんはアルコールを飲んではいけないことは常識だと思いますが、お薬となるとわかりにくいですよね。


ですがベンゾジアゼピン系睡眠薬はアルコールと同じようなものだと考えてください。

 

アルコールを飲めばお腹の中の赤ちゃんが酔っぱらってしまうように、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を飲めば赤ちゃんもふらふらになってしまいます。


特に重要な器官を一から作っている時期にこのような薬を飲むと成長に影響が出るかもしれません。

 

このような事は倫理的に試験を行うわけにはいかないので、調べても「有益性投与:お薬を使った場合の利益が、使わなかった場合の不利益と比べて大きい場合のみ使用」と書いてありますが、上記の理由で妊娠中は服用するべきではありません。

 

また授乳中も同じです。

 

更に、同じ理由でこれからどんどん成長していかなければいけない子供に対しても特別な理由が無い限りは使用しないようにしましょう。


またこの理由でアルコールとベンゾジアゼピン系睡眠薬の同時服用は必ず避けるようにしましょう。効果を発揮する部分が体の中で同じですので、作用が強すぎて倒れてしまうかもしれません。

 

アルコールが体の中に残っている、もしくはベンゾジアゼピン系睡眠薬がまだ効いている状態で、それぞれを使用するのは本当に危険なので絶対に止めるようにしてください。

 

最後に


今回ベンゾジアゼピン系睡眠薬をまとめて記載していますが、それぞれの特徴はあくまで一般的に言われていることを記載しています。

 

例えば同じ甘いと評判のお菓子を食べても、A君は甘く感じ、Bさんは甘さが足りないと感じる事があるように、感じ方は人によります。

 

また更に甘いお菓子を食べた後にそのお菓子を食べても、A君だってさほど甘く感じないでしょう。

 

このように人によって、また使うタイミングによって、効果というものは変わってくるものです。


そういった問題もありますので、2~3日使用して効果が無いからあきらめるのではなく、1週間くらい継続使用してみて判断するようにしましょう。

 

そして、良質な睡眠のためには薬以前にやることが山ほどあります。

 

・昼寝をせずに決まった時間に就寝する。
・寝る前にスマホ、テレビなどの強い光を見ない
・食事を寝る前2時間以内に摂らない
・寝る前に軽い運動をしてみる。
・日中体を動かし、疲れるようにする

 

などなど書いていけばきりがありませんがいずれこういう事も記事にしていきたいと思います。

 

今回の記事も少しでも皆さんの飲んでいる薬や飲もうと思っている薬の参考になればと思います。

 

また以下の記事も参考にしてみてくださいね☆

 

 

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