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【OTC医薬品】:OTCって何?病院でもらう薬とどう違うの?

こんにちは!Ph.塩です!

今回は「OTC医薬品」についてです☆

OTC医薬品は「Over The Counter」の略でして、直訳すると「受け付け越し」ということになりますね。


病院に行って受け付けでもらう薬もOTCなの?という感じですが、それは違います。

この場合のカウンターとはレジを通す受付の事であり、ドラッグストアなどで自分で購入する薬という意味になります。

自分で買える薬品は総称してOTCと呼び、これらは医療用医薬品と区別して考えられています。

では、OTCのメリット、デメリットとは何なのでしょうか?

病院で貰える医療用医薬品と比較して考えて見ましょう。

1. 薬効成分の含有量の違い

2. 主な薬効成分以外の成分の違い

3. スイッチOTCってなに?

4. OTCってどんな人にオススメ?

5. 今後のOTCの動向について

 

1. 薬効成分の含有量の違い


OTCに含まれている成分の多くは医療用医薬品と比較して薬効成分量が少なく配合されています。

当然量が少なければ効果も低い、と考えられます。

これは自分で管理する分大量に薬効成分を配合してしまうと危険性がそれだけ増してしまうからです。

一方で医療用医薬品は処方した医師、処方を監査した薬剤師が責任を持って患者さんに薬を渡すので、薬効成分はその疾患の治療を完遂するのに足りる量が含まれています。


また、何かあればかかりつけ医師、かかりつけ薬局が対応しますので薬効成分をOTCに比べて多めに飲んでいても安心は担保されています。


OTCの場合は基本的に当面の症状緩和を目的としていて、疾患の治療の完遂を目的としていません。これを対症療法といいます。


対症療法を続けているうちに体の自然治癒力によって症状がなくなってしまう事もありますが、症状が悪化することもあります。


OTC医薬品を購入して、セルフケアに努めることも大事な事ですが、体調の変化をしっかり観察して悪化の傾向が少しでも見られたら購入した先のドラッグストアの薬剤師に相談して見ましょう。

2.主な薬効成分以外の成分の違い



医療用医薬品は基本的に一つの成分を含有させ、一つの疾患に対して治療効果を期待します。味や風味をつける成分もほとんどの薬で含有されていません。

例えばロキソニンのように解熱や鎮痛を目的とした薬は風邪によく使われますが、これは鼻水も鼻づまりも喉の痛みも緩和してくれません。

しかし一方でOTC医薬品は複数の薬効成分を含んでいる物質を組み合わせる事が多いです。
例えば同じ商品でもゴールド、とか、クイック、とかを商品名の後につけていることがあります。

私は喉から、私は鼻から、と言うような文句で症状別に売り出すこともありますね。

これは実際には喉の痛みがある人にはトラネキサム酸を配合、鼻づまりがある人にはカルボシステインを配合など、それぞれの薬を組み合わせています。

このようなセットで売り出すことは医療用医薬品には出来ません。
複数の別々の薬を組み合わせて処方することは出来ますが飲む薬の量は増えてしまいます。

また、水無し1錠、などのように水を必要としない製剤方法で売られている薬もありますね。


電車の中で腹痛に襲われた時など、医療用医薬品は多くの薬が水で飲むことを前提としていますので、このような工夫はOTCならではのものであり素晴らしいと思います。

3.スイッチOTCってなに?


みなさん、スイッチOTCという言葉を聞いたことはありますか?

これは、医療用医薬品の成分をそのままOTC医薬品として販売し、ドラッグストアに行けば病院に行かなくても手に入るようにしたものです。


例えばロキソニンS、アレジオン、アレグラ、エパデールなどがそうですね。これらの医薬品の多くが第1類医薬品とされて、薬剤師による説明を必要としています。

しかし元々セルフコントロールが可能と判断されてOTC化されてきているので今後は第1類の区分は緩和され、薬剤師の説明を必要としない第2類、第3類へと変わっていくでしょう。

スイッチOTCの特徴として、何と言っても有効成分含有量が医療用医薬品と同量入っており、同成分が使用できるというところでしょう。

これにより医療用医薬品とほぼ同様の効果を医師の処方無しで得られるということになります。

しかし、自由度が高い反面、何かあった時に医師に相談できませんし、そもそも何が起こる可能性があるのか、ということも、もし薬剤師の説明をしっかり聞かなければ知らないまま飲むことになります。

例えば以下のエパデールの記事にあげたような副作用を知らないまま飲み、出血傾向が起きてしまうかもしれません。

 

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セルフメディケーションの幅が広がると自由度が高まりとても便利ですが、その分自己責任がついてまわります。そこの所を十分に理解し、必要な情報はドラッグストアなどでしっかり聞いて良し悪しを把握しながら飲むようにしましょうね☆

4.OTCはどんな人にオススメ?



・普段健康な方が風邪をひき、熱をすぐに下げて学校や仕事に向かわないといけない、今は休むことができない、という時の熱冷ましや、風邪症状の緩和などに風邪薬を市販で購入する。
・運動などをしたという明確な理由から筋肉痛がきついため湿布を買う。
・花粉症の季節であるため、その理由によりアレルギー反応に困っている。

などの状況が考えられます。
これらをまとめると以下のようになります。

・原因が明らかである
・症状が一時的である
・生活出来ない程重度では無い
・基礎疾患を持たず、他に薬も飲んでいない元々健康な方

原因が不明の場合はその症状に対して様々な要因が考えられます。頭痛や吐き気、めまいやアレルギー反応などは、大丈夫と思っていると早期に対応するべき別の疾患の症状の一つだった、ということも珍しくありません。

また症状が一時的ではなく、何度もあったり長続きする場合は原因が別のところにあるかもしれません。

生活に支障をきたすほどの症状の場合、そもそもOTCでは対応しきれない場合が多いですし、そこまで酷いならば他の原因も精査した方がいいでしょう。

基礎疾患がある方は、原因がそこから来ているかもしれませんし、胃潰瘍や喘息の既往がある人はロキソニンのように服用できないかもしれません。

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また、他に薬を飲んでいる場合はドラッグストアの薬剤師にしっかり話を聴くべきですが、病院薬剤師ほど患者さんの服薬状況をトータルで考えることは難しいでしょう。

 

これは、病院にかかった際にその病院が患者さんの検査値や問診結果などのデータをもっていることから、薬剤師の力量などの話ではなく情報量をドラッグストアの薬剤師よりも病院の薬剤師の方が詳細に調べることができるという点で病院をお勧めします。

このような症状に対する問題点が無い方がしっかり情報収集を行って使う分にはOTCは非常に役立つものになるでしょう。

5.今後のOTCの動向について


今後、どんどんスイッチOTCを含めてOTC医薬品の種類と数は増えてくるでしょう。

以下の医療費の記事でも書きましたが、今後は国の医療費を削減する方向に向いて行きます。

一言で言うと、病院に来る必要が本当にない人は出来るだけセルフメディケーションでなんとかしてもらう、という考え方でもあります。

欧米では保険の違いもありこの考え方が盛んになっており、日本はアメリカの後を追うような形で医療が進化していますので、そういう点でもOTCのような医薬品は増えてくるでしょう。

しかし、なにより健康な生活は薬以前に健康的な食事、運動、睡眠に支えられていますので、まずはそこを固めてからのお薬にしましょうね☆

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