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【ロキソニン】今話題になっている副作用とその実際とは??

 

こんにちは!Ph.塩です!

 

今回は「ロキソニン」についてです。


ロキソニンと言えば近頃は知らない人が少ないくらいに有名になってきていますね~。

 

使っている人も多いですし、ジェネリック医薬品の売り出し、OTCへの販売が始まったことから更に知名度が高まっています。

 

okusuri.hatenablog.com

 

 

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また、消化管穿孔に対する安全性情報が出されたことが広く浸透していて、病院にもよく問い合わせの声をいただいています。

 

当然、自分の使っている薬が胃などに穴を開けるかもしれないと言われたら気になりますよね笑

 

という事で今回は以下の内容について書いていこうと思います☆

 

目次:

1.ロキソニンってどういう薬?
2.ロキソニンの副作用ってどうして起こるの?
3.ロキソニンみたいな痛み止めは何があるの?
4.ロキソニンの消化管穿孔は危険なの?

 

1.ロキソニンってどういう薬?

 

【成分名】:ロキソプロフェン

【効能、効果】
1 :下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛
2 :手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
3 :下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)


難しく書いてありますが熱や痛みが出たらとりあえずロキソニンと言うくらいに網羅していますね笑


ロキソニンのような薬はNSAIDs(非ステロイド性解熱鎮痛剤)と呼ばれる区分の薬剤で体の発痛物質や発熱物質を作らせないようにすることで一時的に痛みを抑えて熱を下げてくれるお薬です。


1日に飲む回数としては頓服で痛みや熱があるときに飲む事が多いですが、慢性的に痛みがある場合は朝昼晩と3回飲む事も少なくありません。


頓服で飲むときには6時間以上間を開けるようにしましょう。

 

2.ロキソニンの副作用ってどうして起こるの?

 

ちょっとマニアックな話ですがお付き合いください笑

 

通常、COX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素がはさみのように脂肪酸(アラキドン酸)をちょきちょき切ってプロスタグランジン類という発熱や痛みに関わる物質などを作るのですが、そのCOXという酵素を止めてしまうのがロキソニンです。

 

これにより熱や痛みを出す物質が作られないという仕組みになっています。

 

ただこのCOXという酵素はいくつか種類があって、痛みや熱を出す物質を作り出すように脂肪酸をちょきちょき切る物もあれば、胃を守ったり腸を守ったりする物質を作り出すように脂肪酸を切るものもあります。

 

従ってCOXを止めてしまうことは胃のような消化管の粘膜を傷つけたり穴を開けてしまう事につながるのですね。

 

他の副作用としてこのプロスタグランジンというものの中には腎臓の血流量を調節してくれている物質もあるので、それらが作られないことで腎障害の危険性もあります。

 


更に喘息の既往があったりアスピリン喘息を持っている患者さんにも使えません。これにはロイコトリエンという物質などが関わっており、ロキソニンのようなNSAIDsは
喘息を悪化させてしまったりするのです。

 

 

ちなみにCOXにはCOX1,COX2という種類があります

 

COX1:いつもいて、胃粘膜保護や腎血流量の調整を行っている物質を作る
COX2:炎症が起こったら活動して痛みや発熱を引き起こす物質を作る

 

このCOX2を選択的に邪魔してやろうというNSAIDsも医療用医薬品として存在します(セレコックス、ハイペン、モービックなど)

 

このCOX1、2などについてはかなり昔から仕組みが解明されていましたがアミノ酸配列など現在でも研究が進められており、今後さらに強く、更に副作用の少ないNSAIDsが出回るかもしれませんね。


ちなみにロキソニンというお薬はプロドラッグといいまして、それ自体は薬ではないのですが体内に入ると薬効を示す物質に変換されて効くという物です。
これにより副作用が少なく抑えられているそうです。

 

薬の作用機序のみならず薬の作り方にも色々な工夫があるのですね☆

 

3.ロキソニンみたいな痛み止めは何があるの?

 

NSAIDsと呼ばれるお薬がロキソニンの仲間達です。

 

サリチル酸系....アスピリン
フェナム酸系....ポンタールなど
アリール酢酸系..インテバン、オステラック、ナボール、ボルタレン、クリノリルなど
プロピオン酸系...ロキソニン、二フラン、ロピオン、ナイキサン、ブルフェンなど
オキシカム酸系..フルカム、パキソ、モービック、ロルカムなど

 

またこれらは「酸」という言葉がつくように酸性です。塩基性のお薬として「ソランタール」などがあります。


こちらはアスピリン喘息などの方に比較的安全に使用できますが、効果のほどは酸性系の解熱鎮痛剤にはとても劣ります。

 

さまざまな会社がさまざまなNSAIDsを販売しており自分にどれが合うのかということは使ってみないとわからない部分があります。


もちろんNSAIDsそれぞれの力というものがあり、ロキソニンやボルタレンはかなり強い部類の痛み止めですが、あくまで目安なので使用しながら自分に合う薬を使用しましょう。

 

そしてこれらのNSAIDsには全てに消化管穿孔の副作用のリスクはあります。
作用機序が前述の通りであり、その効き方をするこれらの薬は全て、ロキソニンに限らず消化管穿孔の危険性があることを理解しながら使用しましょう。

 

4.ロキソニンの消化管穿孔は危険なの?

 

一言でいうと危険です。

 

しかしこれは塩分を1日に大量に取るような話で、直ちに体が壊れるわけではありません。

 

ロキソニン自体の疼痛や発熱を抑える力はすばらしく、多くの場合消化管穿孔を恐れるあまり飲まない事で起こるデメリットの方が大きいでしょう。


様々な疾患で疼痛や過度な発熱を抱えたまま治療に当たることは治療の進行を妨げる要因となるという事が言われています。

 

従って「危険だから飲まない」という考え方より、「危険だから注意しながら飲む」という考え方が正しいと思います。

 

また前述のような理由で消化管穿孔という副作用は起きますが、これは飲んでいきなり消化管に穴が開くという訳ではないのです。

 

・飲む量が多かった
・もともと胃粘膜などが弱っていた。
・副作用対策として胃粘膜保護剤の併用がされていなかった
・漫然と飲み続けていた

などなど、様々な理由が考えられます。

 

また消化管穿孔の起こり始めは胃痛が主な症状になっています。
ロキソニンを服用しながら胃痛を感じましたら直ちに主治医や薬剤師に相談してみましょう☆