薬剤師は伝えたい!

今日から使える情報をあなたに。

【妊婦に禁忌じゃなくなった薬】今まで妊婦に禁忌だった薬がそうじゃなくなるってってどういう事?

こんにちは!塩だよ!


こないだ「ジュラシックパーク 炎の王国」を劇場で見てきたよ!
小学生の時からジュラシックパークはファンだったから凄く楽しみにしていたけど、今回の作品も凄く楽しめたよ!

 

特に宣伝でも言っているけど、いままでで一番多くの恐竜が出てくる、っていうところは本当だったよ!


昔の自分だったら大体の恐竜の名前は言えたけど今はもうあまり言えなくなってしまったなぁ。

 

これまでの作品も凄くハラハラさせられたけど今回のもなかなかのパニック映画の仕上がりになっていたね!


ネタバレにならないように内容には触れないようにするけど、ジュラシックパークの良いところは勧善懲悪がはっきりしているところもあるよね!

 

悪そうなデブは大体死ぬよね!

 

私も恐竜に食われないようなキャラクターになりたいよ!(死亡フラグ)

 


さて、今日はちょっと旬が過ぎた話題だけど妊婦に禁忌解除された薬の話だよ!
妊婦に使って良い薬が増えたんだ!

 

使って良いってのは禁忌から外れたって事だよ


今回禁忌から妊婦の文言が外れた薬は以下の薬だよ

1. タクロリムス点眼剤(タリムス点眼液0.1%)
2. タクロリムス軟膏剤(プロトピック軟膏,小児用軟膏)
3. アザチオプリン(アザニン錠50mg)
4. シクロスポリン(ネオーラルカプセル、同内用液、サンディミュン点滴静注)
5. タクロリムス経口剤(プログラフカプセル、同顆粒)

 

全部免疫が抑制される薬で、使っている人はなかなか辞められない人も多い薬だね!

 

もちろん法律上の取り決めが変わったって言う話だから薬そのものが変わったわけではないけど、法律が変わるほどの十分な裏付けデータが蓄積されてきたっていうのは本当に良いことだよね。


しかも今回の対象の薬は妊婦さんだからといって使用を控えるわけにはいかない事もある大事な薬だから、この情報は本当に大きな意味を持つと思うよ。

 

加えて、添付文書の禁忌が増えることがあっても減ることは初めてだから、こういう前例が出来たことも凄く今後の日本の医薬品に対して大きな一歩になるんじゃないのかな。
今日はそんな大きな意味をもつ歴史的な一歩を解説していくよ

妊娠と薬

妊娠と薬って言うのは昔から本当に大きな議論が行われてきて、これに頭を悩ませてきた医療従事者やお母さん、そのパートナーってのは本当にたくさんいたとおもう。

 

ということで慎重な議論が必要な問題だけど、まず妊娠と薬の大前提からお話しするよ!

 

・流産や奇形児、先天性障害児は薬を使わなくても発生するときはある(自然発生率)
・「妊婦に使っていい薬」は「これを使えば必ず悲しいイベントが起こらない」という事を保証するものではない。
・妊婦さんだけではなく、妊娠成立前のパートナーの服用薬、授乳についても考えないといけない。
・お母さんが薬を飲んで胎児に影響のある可能性よりも、胎児への影響を心配して薬を飲まないことでお母さんの健康障害が大きくなることもある。

 

まぁ、こんなのは薬を飲んでいるお母さんや、処方している医師、調剤している薬剤師からしたら当たり前だよね。


薬飲まなきゃお母さんは体調悪くなるし、飲めば胎児に影響出るかもしれない。
それに薬を飲んでなくて全くの健康なお母さんが流産したり胎児の健康が損なわれていたりすることもある。

 

でも塩も子供がいるからよくわかるけど、その中でも、少しでも結果が良くなるような可能性にすがりたいよね。


完璧な100%は求められないことはわかっているけどそれに限りなく近くなりたいって気持ちはすごくよくわかるし、自分もそう思うよ。


そんな気持ちがみんなにあると思うけど、「妊娠しているお母さんに薬を使ってみてどれだけの子に影響があるか」なんて大規模な臨床試験は絶対に出来ないよね。
じゃあその試験に参加しますか?っていわれたら誰も参加したくないと思う。当たり前だよね。

 

ということで非人道的な試験は行うわけに行かないから、昔からのデータの蓄積を集めて、どうだったのかということを検討していくしか方法はないんだよね。

そうするとさ、例えばある薬を妊婦10人が飲んでたデータがあって、そのうち1人の子が先天異常があったよ、って事がわかったりするじゃん。

 

するとさ、そのある薬が「10%の胎児に先天異常を起こす」なーんて事は言えるんだろうか??

 

塩は無理だと思うな。そのお母さんが他にどんな薬を飲んでいたのかわからないし、元々家族性の遺伝があったかもしれない。


ひょっとしたら宇宙に行ってて、放射線たくさん浴びたのかも...ってそれはないか笑

 

とにかく、薬以外の影響が様々だしそれぞれの影響の大きさもわかっていないし個人差もあるからデータをまとめることは難しいって事。

 

じゃあ、どうしたらいいんだろうね?
次からはそんなところを解説していくよ

情報をまとめて解析

 

添付文書ってのは法律上どうかっていう議論の元ネタになるからさ、必要最小限のことしか書いていないわけ。
あと臨床試験でラットとかに催奇形性が認められた薬なんかは妊婦の禁忌がつく。

 

でも、人間ではどうかわからないし「使わないデメリットの方が使うメリットよりも大きいなら使う」なんて言われても現場では困っちゃうわけ。


実際に添付文書で調べても現場では何の役に立たないことも多いよ。

 

というかほぼ役に立たない。

 

そこで、今回厚生労働省が「妊婦・授乳婦を対象とした薬の適正使用推進事業」っていう事業の中で,平成17年10月に国立成育医療研究センターの中に「妊娠と薬情報センター」っていうものを立ち上げたんだ。


このセンターでは医薬品が胎児に与える影響が、「ほんとのところどうなの?最近使ってみてどうなの?海外ではどうなの?」って調べてて、その結果を新しく臨床に活かすよ!って事をしているんだ。

 

その中で今回は冒頭で挙げた免疫抑制剤が「添付文書から禁忌を外してもいいんじゃね?」って事で会議にあがったんだって。

 

そもそもなんでこの免疫抑制剤が添付文書上禁忌に挙がっていたかっていうと、動物実験で催奇形性が認められていたからなんだ。


これだけ聞くと、「え、人間は大丈夫なの!?」って思うじゃん。

 

でもね、これらの薬は臓器移植の患者さんや自己免疫性疾患の治療成績を大幅に挙げてきた優秀な薬達で、これらの薬を継続したい妊婦さんのセンターへの相談件数は凄く多かったみたいだよ。

 

こういった状況から、「妊娠してても使いたい人多いし、動物実験では危ないけど人間でどうか調べる必要があるじゃん」っていう話の流れになったわけ。

 

そこで、これらの薬が使われて妊娠した人たちの文献をめっちゃたくさん集めて、その後の追跡(産んだ後長期的にどうだったか)っていうところもフォローアップして、海外の情報も集めて検討したわけ。

 

平たく言うと、飲んで良さそうだったわけ。


もちろん最初に説明したとおりだからといってこの薬は絶対に大丈夫っては言い切れないし自然に発生する悲しいイベントの事も考えると手放しで推奨は出来ないけど、「これらの薬を飲んで出産した人と、これらの薬飲んでないで出産した人の比較だと全然影響が見られなくね」ってことわかったのさ。


そういう話の流れで、今回免疫抑制剤3剤(タクロリムス水和物,シクロスポリン,アザチオプリン)の添付文書から禁忌が外れることになったんだよ。

 

ちなみに大事なことだけどアザチオプリンに関しては遺伝毒性が認められていることから,妊娠する可能性のある女性又はパートナーが妊娠する可能性のある男性に対する本薬投与中の妊娠に関する注意喚起が必要と判断されたみたいだよ


つまりこれから妊娠するかもしれない男女カップルはこの薬出来れば飲まないでねってこと。

 

正直医療従事者でもなければどの薬がアザチオプリンなのかなんてなかなかわからないと思うよ。

 

だから医師、薬剤師の話をしっかり聞こうね。
あと、信頼できる医療従事者を見つけられるといいよね。

 

バイバイキーン^ω^


にほんブログ村