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【さい帯血】:ips細胞だけではない?再生治療で注目されているさい帯血を使った治療とは。

こんにちは!Ph.塩です! 

 

今回は「さい帯血」についてです。

 

さい帯血は近頃医療の世界の中で急速に利用価値が高まり、再生治療や細胞治療でどんどん脚光を浴びています。

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しかし一般的に有名なのは細胞治療や再生といえば最近注目を浴びているのはES幹細胞や、ips細胞ですね。

 

それらの細胞を使った治療は成長段階であり今後の期待が大きいものですが、さい帯血は以前から臨床試験が進められておりより安全に利用できるものです。

 

またさい帯血の治療とは、手術をするのではなく、さい帯血幹細胞を静脈に点滴注射することで行いますので合併症などがなければとても侵襲の少ない治療になります。


今回はそんな注目されているさい帯血についてご紹介します。

 

目次:
1.さい帯血って何?
2.現在行われている臨床試験
3.さい帯血とips細胞治療の違いは?

 

1.さい帯血って何?

 

母親と赤ちゃんを結んでいる「へその緒」に含まれている血液で、赤ちゃん由来の血液です。ですので、とても少量で出産時にしか取れない非常に貴重なものとなります。

 

この血液の中には血液、血管、筋肉、軟骨、神経などを作る「幹細胞」が、たくさん含まれておりこの幹細胞を利用するんですね。

 

もともと難治性血液疾患(白血病など)の治療で脚光を浴びていますが、最近では脳性麻痺などの脳神経障害や、自己免疫疾患の治療に対して利用できるとして注目を集めています。

 

また、このさい帯血の出産時での摂取は痛みを伴わず、母子ともに、危険性のないものです。

 

ちなみにこの採取したさい帯血は公的バンクと民間バンクの2種類のバンクに集められています。

 

公的バンクは寄付にされたさい帯血が集まるため、費用は無料です。目的としては白血病などの血液の疾患に対して使用できます。

 

民間バンクは赤ちゃん本人や親族の方に利用する目的でさい帯血を集めます。

有料ですが、適応症としては白血病の他に再生治療や細胞治療に対して使用することができます。

 

2.現在行われている臨床試験

現在行われている臨床試験は以下の疾患や病態に対して進行中です。

 

• 自閉症スペクトラム
• 自閉症
• 脳性麻痺
• 周産期脳卒中
• 低酸素性虚血性脳症
• 左心低形成症候群
• 小児難聴
• 1型糖尿病

 

これらはすべて海外の病院や大学で行われている試験ですが、日本でも以下のように試験が行われています。

 

• 脳性麻痺
10例に対して高知大学病院で行われており、2017年8月に終了予定

 

• 低酸素性虚血性脳症
6例が大阪市立大学病院などで行われており、2018年2月に終了予定です。

 

しかし、この臨床試験は全て自己さい帯血によるものであり、他人のさい帯血では効果や安全性に劣ることが示されています。

 

3.さい帯血とips細胞治療の違いは?

 

ips細胞はガン化が懸念されており、現在の研究目的はこのガン化を防ぐことだと言われています。

 

また、作製目的の細胞(肝臓や視神経など)以外の細胞を排除することも研究中です。ips細胞はその幅広い使用目的の代わりにまだまだ発達途中の分野であり、研究の進行が待たれる分野なんですね。

 

しかしさい帯血細胞はガン化することなく白血病治療に対しては安全性が確認されており、安全に使用することができます。

作成コストに関しては20〜30万円のコストで分離、保管が可能であり、今後は脳性麻痺、自閉症の他にもどんどん適応症は増えて行くでしょう。

 

どちらにも一長一短がありますが、ips細胞などが脚光を浴びている中でさい帯血治療というのは少しマイナーな分野なのではないでしょうか?

 

こういった治療があることも知っておくと医療従事者の方は良いアドバイスが出来るかもしれませんね。

 

 

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