【認知症メーカー】:認知症を生み出す危険な言葉遣いとは?
こんにちは!Ph.塩です。
今回は「認知症メーカー」です。
言葉狩りに感じられるかもしれませんが、もしあなたが医療従事者であれば
・認知がある
・認知機能が低下している
・認知症である
の使い分けはされていますでしょうか?
日々に業務の中で違和感と問題点を感じますので今回はこんな所を記事にしていきたいと思います。
(最近薬についての記事が少ないですね...アチャー笑)
目次:
1.認知がある、は使っちゃダメ
2.こんな指摘は細かすぎる?いいえ、大事です。
ある日、こんな患者さんが入院してきました。
68歳 男性
脳梗塞により悪化によりろれつが回らなくなり入院。
言語に対する障害もみられ、また入院後の環境の変化から若干の「せん妄」がみられる。
普段はある分野の講師として全国を飛び回り講義を行うほどの方。
既往歴は特になく、薬歴も無し。
そしてその男性は治療の経過とともに無事退院してきました。
しかし退院するときにはなぜか既往歴に「認知症」という文字が書かれていました。
この症例に関して、なぜこの方は認知症という既往歴が追加になったのでしょうか?
答えは....
入院時にせん妄となり、またろれつが回らない等の中枢麻痺が見られたため「認知機能が低下」していた症例に対して、カルテに医療従事者が「認知がみられる」と書いたため、その言葉が他の医療従事者によって徐々に「認知症がある」という様に捉えられたためです。
細かいことですが、認知は誰でもあります。
認知があるというのは、物事や物体を確認しているということであり、脳波の乱れや器質的疾患を指すものではありません。
しかし医療従事者にさえも「認知」という言葉は「認知症」を想起させます。
加えて、「認知症」と「せん妄」の症状は非常に似ており、後から介入した医療従事者に対して「認知がある」という言葉と「認知症である」という誤解を広げていきます。
私はカルテを見たときには「認知がある」と書かれていれば必ず本人の所に行って会話をしたり、家族から情報収集をするようにしています。
認知症であることと、せん妄状態であること、また認知機能が一時的に低下している事とは全く治療のゴールも方針も違うからです。
さて、私はこの話を仲のいい看護師さんにしました。
しかし「それは患者さんを見ればわかるからそんなに目くじらを立てなくてもいいのでは?」とも言われました。
ひょっとするとその程度の話なのかもしれません。
看護師さんは近くで毎日受け持ちの患者さんと対話をしているので、認知機能が低下しているのか認知症なのかその場はわかっているから大丈夫なのかもしれません。
しかし後から介入したDrなどの他の医療従事者が関わった際に、記録をみてどういう状況なのか非常に疑わしいことになります。
とくに入院が長引き、NSTやPCTに介入依頼があった際には情報収集の際の治療の目標に大きく関わることになるでしょう。
また上記の様な「認知症」の既往歴をつけられる事例を経験するとと、このあたりの言葉遣いはしっかり考慮するべきだと私は思います。
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